「くまのプーさん」だけじゃない習近平のあだ名、その数546種類。「包子」「小学博士」「2-4-2」...
WHAT’S IN A NAME
第6は、厳しい検閲をかいくぐるために考案された暗号めいたもの。「2-4-2」というのは、「習近平」という3文字の声調を表現したあだ名である。
笑い話のように聞こえるかもしれないが、こうしたあだ名の数々は、習と中国の行く末を示唆しているのかもしれない。
最高権力者が国民から侮蔑されると、国を統治することが難しくなる。そうなると、最高権力者は国民に敬意を持たせようと強引な手法を用いる可能性があるが、国民はますます怒りと侮蔑の感情を強めて悪循環に陥りかねない。イタリアの政治思想家マキャベリは、そのような状況の先に待つのは暗殺だと述べている。
それは極端なシナリオだとしても、今後の見通しは既に十分すぎるくらい暗い。トップダウン型の体制では、権威への侮蔑が地方に広がると、地方政府も統治が難しくなる。中国の歴史では、そうなったときはいつも決まって王朝が衰退に向かった。最初は小規模な反乱が起きるようになり、そのうちに国全体がカオスに覆い尽くされる。
中国国内と国外の人たちがそのシナリオに備える上で最善のアドバイスは、孔子の言葉「危邦不入、乱邦不居」。危険な国や不安定な国には近づかず、長く滞在すべきでない、という意味だ。聡明な外国投資家と中国の富裕層は、既にそれを実行に移し始めているように見える。
練乙錚
YIZHENG LIAN
香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
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