バイデンがトランプ陣営から学ぶべきこれだけのこと
How to Beat Trump
トランプ陣営に学ぶこと
バイデン陣営は、トランプを暴君として描く方法も見直す必要がある。彼らによるトランプの描写は、「支離滅裂な過激派のリーダー」であることを十分強調していない。トランプの物忘れや勘違いをあざ笑うのではなく(これはバイデンにとっても嫌な話題のはずだ)、トランプの過激な思想や危険な取り巻きを容赦なくたたく必要がある。
この手の戦術については、バイデンはそろそろ敵対勢力から学んだほうがいい。極右は左翼陣営から格好の攻撃材料を拾い上げ、その解釈をねじ曲げ、民主党はこんなひどいことを主張していると巧みに喧伝する。民主党も負けじとこのゲームに加わるべきだ。
極右陣営にはゆがんだ危険思想がごろごろ転がっているし、いかれた過激主義者もいくらでもいる。民主党がその気になれば、それらを掘り出して危険性をアピールできる。
過激主義者の代表格は、FOXニュースのトーク番組の常連で、自己利益のためにトランプに尻尾を振るチャーリー・カーク。彼が設立した青年組織「ターニングポイントUSA」は品性を欠いた愚かな主張や白人至上主義のバカ騒ぎで知られる。カークは公民権運動の父マーチン・ルーサー・キングを「ひどい」人物、「善人ではない」と評し、国の祝日である「キング牧師の日」をキングたたきに費やした。当然ながら公民権法も「壮大な過ち」と呼んで目の敵にしている。
バイデン陣営はなぜ、トランプの取り巻きのこうしたトンデモ発言を問題にして、トランプ支持者に再考を促そうとしないのか。
こうした危険な連中とトランプのつながりを暴露するなら今がチャンスだ。遠慮は要らない。堂々とやること。例えば、トランプが親ナチスのニック・フエンテスと仲良くディナーを共にしたことを選挙CMでアピールしてもいい。フエンテスはたびたびヒトラーをたたえ、ユダヤ人をこき下ろし、「この世ではキリストの敵に未来などない」と公然と言い放っている。
人の不幸に付け込む、こうしたならず者たちの名前と、彼らとトランプの深い関係が広く知られていないのは、民主党指導部のエリートたちの不作為の罪と言っていい。
これから9カ月、民主党員はトランプの名を口にするたびに、必ず「過激主義の」という形容詞を付けること。そしてあらゆる機会を捉えて、トランプが憎悪に満ちた陰謀論や荒唐無稽なフェイクニュースを広める連中と太いパイプで結ばれていることを有権者に知らせるべきだ。
最後に、バイデンは反トランプのより効果的なネガティブキャンペーンだけでなく、自身についてのポジティブキャンペーンも繰り広げる必要がある。民主党支持の有権者が最も関心を持っている争点について、もっともっと言葉を尽くして語るべきだ。