最新記事
ロシア

プーチン大統領の娘が異例のメディア出演...無神経な発言に「ロシア兵の命は無視?」「偽善」と批判の声

Putin's daughter breaks silence in rare TV interview

2024年1月19日(金)19時37分
キャサリン・ファン
プーチン大統領と最初の妻リュドミラ・シュクレブネワ

プーチン大統領と最初の妻リュドミラ・シュクレブネワ(2012年3月) Grigory Dukor-Reuters

<父プーチン大統領がウクライナの戦場に送り込んだ大勢の兵士が死亡しているなか「偽善的だ」との声も>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の娘であるマリヤ・ボロンツォワが、2023年12月にインタビューに応じていたことが分かった。プーチンの家族がメディアに出るのは、きわめて異例のこと。「最も価値があるのは命」などの発言をめぐり、ネット上では多くの批判の声が飛び交っている。

■【動画】母親似?父親似? 異例のメディア出演で、インタビューに答えたプーチン長女のマリア

ボロンツォワは2023年12月16日に、医療系の非営利団体「Medtech」のインタビューに応じ、世界的な医療の進歩や文学、音楽芸術への関心について42分間にわたって語った。

彼女がインタビューに出演することは、ロシアの人気ソーシャルメディア「フコンタクテ」で大々的に宣伝されたものの、ユーチューブ上で公開された動画の視聴回数は、1月12日の時点で1万回に達していなかった。

長年公の場に姿を見せて来なかったボロンツォワはインタビューの中で、ロシアは「経済中心の社会」ではなく「人間中心の社会」であり、「最も価値があるのは人間の命だ」と語った。彼女がプーチンの娘だという紹介はなく、会話の中にも出てくることはなかった。

ボロンツォワは、プーチンと2013年に離婚した最初の妻リュドミラ・シュクレブネワの間に生まれた二人の娘のうちの一人だ。ボロンツォワも妹のカテリーナ・チホノワも、それぞれ子どもがいる。プーチンが二人を自分の娘だと公に認めたことはなく、ロシア政府も二人の生活に関する詳しい情報は一切公表して来なかった。ボロンツォワがロシアによるウクライナ侵攻について公にコメントしたことはない。

「前線に送られた兵士の命は」など批判的なコメント

複数のX(旧ツイッター)ユーザーは、今回のインタビューでボロンツォワがロシア社会における人間の命の価値について発言したことに注目。父親であるプーチンが、もう2年近く続いているウクライナでの戦争に対して強硬姿勢を貫いているなか、偽善的な発言だと示唆した。

英BBCのジャーナリストであるフランシス・スカーは12日、「彼女の父親の『部分動員』によってバフムトやマリインカの前線に派遣された人々は、彼女の意見に賛同するだろうか」とXに投稿した。

ロシア、ベラルーシやウクライナの外交政策を取材しているジャーナリストのニコラ・ミコビッチは11日に、「私たちにとって最も価値あるものは人間の命だ――プーチンの娘であるマリヤ・ボロンツォワの発言」と投稿。「もちろんそうだ。特に厳重に要塞化されたウクライナ軍の拠点に突入させられたロシア軍の兵士たちの命が」と書き込んだ。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

三菱電の今期、米関税で300億円コスト増 営業益は

ワールド

ECBは利下げ余地ある、トランプ氏の政策機能ぜず=

ワールド

中国が南シナ海の鉄線礁を「統制下に」と主張、フィリ

ビジネス

TDK、26年3月期営業益予想は0.4%増 リスク
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中