最新記事
トランプ

トランプは、再選されたら軍事権限を拡大して反トランプデモを鎮圧する計画

Legal Experts Gearing Up for Feared Military Takeover by Donald Trump

2024年1月15日(月)17時10分
トーマス・キカ
ニューヨークの街頭で支持者に手を振るトランプ

ニューヨークの街頭で支持者に手を振るトランプ(1月11日) REUTERS/David Dee Delgado

<保守系シンクタンクの政策綱領の発表で、再選された場合のトランプの政策が見えてきた。司法関係者は大統領の治安維持権限を拡大する試みに危機感を抱いている>

今年11月の大統領選でドナルド・トランプが大統領に再選された場合、彼が広い範囲の軍事的な権力を独占する可能性があることから、法律の専門家たちが反撃のための計画を練っている。


ホワイトハウスへの返り咲きをねらうトランプ前大統領は、2024年の共和党大統領候補指名を目指す候補者として名乗りを上げている。全米の世論調査の平均は一貫して、トランプが大差でリードしていることを示唆しており、共和党の有権者から50%前後あるいはそれ以上の支持を得ている。

トランプは最近の発言や行動で、再選された場合に追求する政治課題を明らかにしているが、「公益団体と議員からなるネットワークが、大統領権限を拡大するトランプの企てを阻止するための計画をひそかに練っている」と、NBCニュースは14日に報じた。

ワシントン・ポストは2023年11月に、トランプは再選された場合、二期目に就任した初日に反乱法を発動し、彼の大統領就任に反対する抗議行動を軍事力で鎮圧することを計画していると報じた。

トランプは大統領の任期が終わろうとする時期に、弁護士のジェフリー・クラークからアドバイスを受けた。2020年の大統領選挙で敗れたにもかかわらず大統領職に居座るつもりなら、抗議活動を封じるために反乱法を使うことができると告げられたという。

就任初日は好きにやる

一方、昨年12月にFOXニュースの司会者ショーン・ハニティが主催した市民との対話イベントで、ハニティはトランプに、再選されても、最近の報道で示唆されたような「誰かに対する報復として権力を乱用する」ことは決してしないと誓約するよう迫った。これに対してトランプは、大統領二期目があるとしたら、就任初日だけはそのような振る舞いをする、と示唆した。

「初日だけは別だ」と、トランプは語った。「それ以外はやらない。初日に、国境を閉鎖し、(石油を)掘削しまくるだろう。それ以降は、独裁者にはならない」。

ジョージタウン大学法学部憲法擁護・保護研究所のエグゼクティブ・ディレクターで、トランプ阻止の計画に参加しているメアリー・マッコードは、NBCニュースの取材に対し、トランプが再選された場合、彼の行動次第では、いくらでも訴訟を起こす準備をしている、と述べた。

「私たちはすでに、彼(トランプ)がやりかねない最も有害な行為を考え抜くチームを編成し始めている。必要であれば訴訟を起こす準備ができている」と、マッコードは語った。

報道によると、このグループの当面の計画は、大統領に就任したトランプの潜在的な越権行為に 「初日から」立ち向かえるような、志を同じくする個人や組織を特定し、結びつけることだという。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、日鉄のUSスチール買収 関税交渉の一部

ワールド

米伊首脳が会談、欧米の関税巡る「ディール」実現に自

ワールド

米中関税協議、中国が申し出 トランプ氏「ディール実

ビジネス

NY外為市場=ドル持ち直し、ユーロはECB利下げ受
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?
  • 4
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    関税を擁護していたくせに...トランプの太鼓持ち・米…
  • 9
    金沢の「尹奉吉記念館」問題を考える
  • 10
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中