「大学進学率50%」のウラにある男女差と地域格差
男女別、地域別に見ていくと大学進学率には大きな差がある Nejron Photo/Shutterstock
<都市部ほど大学進学率は高く、最高の東京と最低の宮崎では倍近い開きがある>
現在では同世代の半分が4年制大学(以下、大学)に進学する。大学進学率50%というのは、その数値的な表現だ。
大学進学率とは、18歳人口のうち大学に進学した学生が何%かをいう。文科省の『学校基本調査』から計算する場合、分子には当該年春の大学入学者数を使う。2023年春だと63万2902人(A)。上の世代(浪人経由者)も含まれるが、この年の現役世代からも浪人経由で大学に行く者が同数出ると仮定する。
分母には同時点の18歳人口を用いるが、3年前の中学校、中等教育学校前期課程、義務教育学校の卒業者数の合算をあてる。2020年春の数値は109万7416人(B)。よって2023年春の大学進学率は、AをBで割って57.7%と算出される。5割どころか、6割に迫る勢いだ。
だがこの進学率には性差があり、男子が60.7%であるのに対し女子は54.5%。地域差もあって、47都道府県別に計算すると最高の東京は77.6%、最低の宮崎は40.1%と倍近くの開きがある。同じ国内とは思えぬほどの差だ。
いま日本の白地図を用意し、2023年春の大学進学率が50%を超える県に色を付けると<図1>のようになる。左は男子、右は女子のマップだ。
色が付いているのは男子では33県、女子では18県しかない。白色の県が結構あり、「同世代の半分が大学に行く」と言うには留保が要る。
大学進学率の地域差が、各県の生徒の自発的な進路選択の結果と考える人はいないだろう。子どもの学力テストの成績とは相関しておらず、学力平均が高い秋田県の大学進学率(男女計)は40.1%と下から2番目に低い。進学率が高いのは都市部なので、社会経済条件と結びついた「格差」であると言っていい。
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