最新記事
ウクライナ情勢

ショイグ国防相「ロシアはウクライナで今年の目標を達成した」

Russian Defense Minister Says Key Goal in Ukraine 'Successfully Completed'

2023年12月27日(水)17時49分
エリー・クック
プーチン大統領とショイグ国防相

今年最後に笑うのはこの人? ロシアのプーチン大統領とショイグ国防相(11月10日、ロシア南部ロストフ・ド・ナヌのロシア軍南部軍管区司令部)

<一年の終わりにあたり、ウクライナに侵攻している面々はその戦果に満足気だ。いったいなぜか>

ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は12月26日、ウクライナでの戦争におけるこの一年のロシア政府の目標は「成功裡に完了した」と述べた。もっとも、この過酷な戦争が来たる新年には終結するのか、という肝心な点についてはほとんど言及しなかったのだが。

2023年を通じたロシアの「主たる」目標は、「ウクライナ軍の反転攻勢を妨害する」ことだった。ショイグは、12月26日にロシアメディアが公開した声明のなかでそう述べている。

「その任務は成功裡に完了した」とショイグは述べた。


ウクライナは2023年6月上旬、同国南部と東部で、ロシア軍に対する反転攻勢を開始した。ロシア軍に占領された領土を全面的に奪還するのが狙いだった。

ウクライナはすぐに、反転攻勢を開始するのが意図していたよりも遅かったことを認めた。その間にロシア軍は塹壕を掘り、強固な防御を築き、ウクライナ軍の通り道に徹底的に地雷を仕掛けることができた。ウクライナ政府は、反転攻勢が遅れたのは西側からの支援が遅れたせいだとしている。

ロシア軍に恥はかかせたが

ウクライナ軍の前進は、期待したようには実現しなかった。前線沿いの少数の村を奪還することには成功したし、クリミア半島におけるミサイルと無人機(ドローン)による一連の攻撃は、ロシア軍に恥をかかせるに十分な戦果を上げた。だが、いまや戦況は膠着状態にあると見る向きもあり、ウクライナはそれを打ち消そうと躍起になっている。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12月、「われわれは、もっと早く結果を出したかった。その観点からすると、残念ながら、望んだ成果は得られなかった」と認めた。そのいっぽうでロシアも、支配下にあるクリミア半島に対するウクライナ軍の攻撃をかわすのに苦労しており、戦争で疲弊した国内では人材や資源が急速に失われている。またウクライナ軍は、長らく前線となってきたドニエプル川東岸での地上作戦も開始し、南部ヘルソン州のロシア支配地域に切りこんでいる。

冬には、機械化部隊による作戦の多くが停止を余儀なくされる。それに先駆けてロシアは、東部ドネツク州のアウディーイウカに対する猛攻を開始し、厳重な守りが敷かれたこの町に犠牲をいとわず兵力を投じている。アウディーイウカは、10年近く前線の位置にあるウクライナの重要拠点であり、この町の奪取に成功すれば、ロシアにとっては戦術的にも象徴的にも大きな勝利となるはずだ。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、国防長官に「全幅の信頼」と報道官 親族

ビジネス

米CB景気先行指数、3月は0.7%低下 関税巡る不

ワールド

プーチン氏「和平構想に前向き」、復活祭停戦後の戦闘

ビジネス

トランプ氏、早期利下げ再要求 米経済減速の可能性と
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 2
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 5
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    なぜ? ケイティ・ペリーらの宇宙旅行に「でっち上…
  • 9
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 10
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中