娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害
「さらに、救急車の音もけたたましくなっていたので、何か非常事態が起きたと思い、地域の病院に行くと言って家を出ました。病院では大勢が運ばれてきていました。看護師の方に声をかけ、娘と、ボーイフレンドのアヴィナタンの名前がないかを確認してもらったが、負傷者の中に名前は見つからなかった。また別のアシュケロンというイスラエル南部の街の病院にも確認してもらったが、名前はありませんでした」
「その間にも、娘とパートナーに電話はしていましたが、繋がりませんでした。ただ友人たちから連絡は取れていたと聞き、だからこそ病院に探しに行ったのです。病院で2時間ほどして、妻から電話があり、娘のルームメイトに連絡するよう伝えられました。そこで電話をしてみると、娘がバイクに乗せられてガザの方面に連れて行かれる動画を今見たと告げられました」
「怯えた娘の動画を見るのは父親として非常に辛いことです。私は病院で、そのまま気を失ってしまったようで、電話が壊れてしまいましたが、病院だったので対処をしてもらい大事には至りませんでした」
死亡が確認された拉致の被害者も
「ガザにも人間の心を持った人がいると思います。対話を望んでいる人がいると思っています」
ノアさんの父親ヤコフさんへのインタビューの全編は、以下のYouTube動画「【独占】娘をハマスにさらわれた家族インタビュー」でぜひご覧いただきたい。テロや誘拐事件というものは、宗教問題であっても、領土問題であっても、正当化することはできない。
また今回来日した家族の中には、日本滞在中にガザで死亡が確認された人もいる。ハマスに誘拐されたエデン・ゼカリヤ(28)さんだ。ゼカリヤさんも、レイム音楽祭に参加していて、拉致された。イスラエル軍の特別部隊が、遺体を回収して身元調査を行い、本人だと確認された。日本にはゼカリヤさんの叔父が訪問していた。
ヤコフさんのように、一人娘を突然、容赦ない重武装したテロ組織に誘拐され、それがSNSで世界中に拡散されるという感覚は、日本人の私たちには想像しづらい。ハマスは、無実の民間人を誘拐して、解放する代わりに、犯罪を犯して拘束されているパレスチナ側の囚人を釈放するよう要求している。すでに100人以上の囚人らがイスラエル側の人質と交換で釈放されているが、そんな手口がまかり通っている事実も、私たちには想像しづらい。
過去にもハマスは同じような手法でハマスの囚人などを釈放させてきた歴史があり、今回のイスラエルへのテロ攻撃を首謀したとされるガザ地区のハマス最高指導者のヤヒヤ・シンワルも、そうして釈放された元囚人の一人である。
とにかく、複雑な中東和平問題の混乱の歴史が背景にあるのはわかっているが、それでもまず無実の民間人はすぐに解放されるべきではないだろうか。