娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害
ハマスに拉致されたノア・アルガマニさん
<ハマスの人質となったイスラエル人女性の父親は「ガザにも人間の心を持った人がいるはず」と、娘の無事を祈っている>
イスラム組織ハマスがイスラエル領内に侵入して大規模なテロを起こしたのは2023年10月7日のこと。イスラエルで1400人ほどが殺害され、それを受けてイスラエル軍は、ハマスが拠点として実効支配するパレスチナ自治区のガザ地区に報復攻撃を実施している。今も、ハマスはイスラエルにミサイル攻撃を続けており、イスラエル軍もハマスの殲滅を目標として攻撃している。
■【動画】世界に衝撃を与えた、若い女性がハマスに連れ去られるシーン/拉致されたノアさんの写真
ハマスはテロ攻撃の際にイスラエルから約250人を誘拐してガザに連れ帰っている。人質の国籍は25カ国にわたり、現在でも130人ほどが誘拐されたままだ。
今回の大規模な誘拐事件では、手軽に動画などを撮影できるスマホなど普及によって、誘拐されていく人たちの映像が残されており、世界中に拡散されている。筆者もSNSなどで拡散されている動画はかなりチェックしてきたが、その中でも最も印象に残っている動画がある。
その動画は、若い女性がハマスの戦闘員のバイクに乗せられて連れ去られてしまうものだ。一緒に誘拐されたパートナーの男性に向けて手を伸ばしながら「殺さないで!」と叫びながら誘拐されるこの印象的な動画は、世界中で拡散されている。
パートナーと一緒に参加していた10月7日のレイム音楽祭から拉致された大学生のノア・アルガマニさんの父親に、先日、独自インタビューしました。ノアさんは動画で、パートナーと引き離され、「殺さないで!」と助けを求めて叫んでいる。父親は、末期がんの妻とともに、一人娘の救出を願っていた。 pic.twitter.com/MfdbMfwl64
— 山田敏弘 (@yamadajour) December 23, 2023
この女性の名前は、ノア・アルガマニさんだ。ベングリオン大学の情報システム工学科の学生だったノアさんは、誘拐されて数日後の10月12日に26歳の誕生日を迎えている。
ハマスによる襲撃の日に起きたこと
10月7日の早朝、ノアさんはパートナーや友人らと、車でイスラエル南部で開催されたレイム音楽祭「スーパーノヴァ」に向かった。ハマスの襲撃で参加者260人が虐殺された音楽祭だ。
筆者は、人質の解放を呼びかける活動で日本を訪問していたノアさんの父親ヤコフさんに話を聞くことができた。
「10月7日早朝、6時から6時半ごろだったと思いますが、私たちの家はイスラエル南部のベエルシェバにあるのですが、朝、早朝からロケット弾の攻撃を知らせるサイレンが鳴っていて、妻には誤報じゃないかと言って安心させようとした。ところがサイレンがなかなか止まないので、自宅にあるセーフルーム(シェルター)に妻と一緒に入ることにした。そこで娘の部屋をのぞいてみると、娘とパートナー(ボーイフレンド)がいないことに気がついた」