中印国境に軍隊を送る幹線道路、インド方面にも中国の拡張主義
China Builds New Highway Near India To Move Troops for Border Standoff
かつては工事が難しい地形のためにG216号線の建設が妨げられたこともあったが、中国はこの難題を克服した、と本誌に語ったのはインド陸軍の元将軍で、現在はニューデリーにあるシンクタンク、ヴィヴェーカナンダ国際財団の特別研究員ラケシュ・シャルマだ。
「G216号線とG219号線はいまや地域一帯の部隊を後方支援するための幹線道路となっている。新疆ウイグル自治区から続く主要幹線道路とつながったからだ。両国道は、兵站の維持と部隊の往来のために開発された2つの軸といえる」と、以前ラダックに駐屯していたシャルマは言う。
さらに、現在建設中の国道G695号線は、中国軍とインド軍が部隊の配備を続けている地域により近づくことになる。
「G695号線は、両国の部隊が対峙している実効支配線から10~15キロ圏内を通ることになるため、また別の問題を生みだすだろう」と、シャルマは語った。
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「北部の国境地帯を通るこの国道は、インド軍に対峙する中国軍にとって重要な道路となるだろう。なぜなら、この道路がつながることで、軍の大規模な移動が起こり得るからだ」
インドはインドで、将来、中国との武力衝突が起こる可能性を視野に入れ、中国との国境附近で独自の戦略的インフラを拡張している。
<中朝国境の係争地域(茶)>
中国軍部隊の優位を確保
G695号線の建設は「少しずつ」続いているとシャルマは指摘し、この国道のおかげで中国は、移動が難しい地形にもかかわらず部隊を送りやすくなり、インドよりも優位に立つ可能性があると語った。インドは難題を突き付けられた格好だ。
ラダック東部の3380キロに及ぶ実効支配線の両サイドにはそれぞれ約10万人の兵士が残っていると推定される。緊張緩和を目的として2国間協議が20回も行われたが、両軍は膠着状態に陥ったままだ。
シャルマによれば、中国は実効支配線に沿って、橋やその他のインフラを建設しているため、中国人民解放軍がこの地域に常駐することになり、国境の係争地域に配備されたインド軍のかなりの部分がその場に足止めされることになるという。
12月11日、インドの最高裁判所はナレンドラ・モディ首相率いる政府の事実上の支配をさらに強固にするために、ジャム・カシミールから特別自治区としての地位を剥奪するという2019年の決定を支持した。この後、中国政府はインドが支配するジャンムー・カシミールに対する領有権を再び主張した。この地域に関しては、パキスタンも領有権を主張している。
「中国は、インドが一方的かつ違法に設定した、いわゆるラダック連邦直轄領を承認したことはない。インド国内の司法判断は、中印国境の西側部分が常に中国に属してきたという事実を変えるものではない」と中国外務省の毛寧(マオ・ニン)報道官は述べた。