「ガザ地区の完全な支配権を取り戻す用意がある」パレスチナ高官...それでもなぜ「戦後ビジョン」が見えないのか【本誌独占スクープ】
Biden’s Plan Wins Backing
簡単ではない非武装化
ネタニヤフは12月5日、戦争終結後には「ガザを非武装化しなくてはならない」と主張した。一方でイスラエルは戦争終結後のガザ運営について協議するよりも、打倒ハマスに燃えている。
とはいえ政府内には、米バイデン政権がこのところ戦争終結後の計画策定を推し進めているのを機に、ガザの今後の在り方をめぐる協議に目を向ける動きも出てきた。
匿名を条件に取材に応じたイスラエル政府高官は、同国の安全保障上の要件を満たしていないと見なされた場合、政府がガザに関するいかなる解決策にも同意する可能性は低いと指摘した。
「わが国の安全保障指導部は、ヨルダン川西岸と同様、ガザにおいても共存のためには非武装化が必須だと考えている」と高官は語り、この条件はパレスチナ自治政府、あるいはガザを最終的に掌握するいずれの組織にも適用されると述べた。
別のイスラエル政府高官は、100人以上残っている人質の解放を含めイスラエルが軍事目的を達成したと判断しても、非武装化のプロセスは一夜では成し遂げられないと語った。
この高官は、戦況が落ち着いてもガザは「テロの温床」と見なされ、イスラエル治安部隊の駐留維持を要すると指摘。さらに政府としては「ガザで軍事作戦を行う一定の自由度を維持する必要」があり、ガザの再占領も目指していないと付け加えた。
マジダラニによれば、パレスチナ自治政府はイスラエルが事実上の支配権を維持する暫定合意には反対する。戦闘終結後にガザに多国籍の平和維持部隊を駐留させる案も支持しないだろう。
さらにマジダラニは、自治政府はエジプトとヨルダンから後方支援を得られればガザの治安を維持できると指摘。その一方で、自治政府の治安部隊が必要とする支援の詳細には触れなかった。
中東の専門家や元米当局者らは、ホワイトハウスが提示している政治的解決案について、ガザの将来をめぐる問題のほかにも、この地域に関するより幅広い問題に対処する必要があると主張する。