目標だった「福田ドクトリン」は今や現実に 日本とASEAN50年の歩みと、これからの協力関係
──ASEANからの期待を踏まえ、JICAは今後どのようにASEANと向き合っていくのでしょうか。
早川 ASEANとは、これから地域全体の開発、さらには東南アジア地域を超えたグローバルな課題解決に一緒に取り組んでいくことが重要です。シンガポールやタイといったパートナー国とは、それぞれ個別に連携して一緒に第三国研修プログラム を実施するなど、各パートナー国内に限定されない、ASEAN地域全体の開発に向けて協力する動きが拡大しています。シンガポールやタイをはじめ、インドネシアやマレーシアも自ら開発協力機関を立ち上げ、規模はまだ限られていますが「援助する国」に成長しつつあります。
そうした中で重要なのは、従来以上に謙虚な姿勢で相手に耳を傾けていくことです。シンガポールやマレーシアなどはもちろんなのですが、それ以外にもASEANの中には、すでに自らの信用力に依拠した国債発行などによって、金融市場から資金調達できる状況に移行しつつある国もあります。それでもなお「JICAと一緒に課題の解決に取り組みたい」と思ってもらえる理由は、単なる資金援助や技術の提供ではなく、成長に向けたビジョンを一緒につくり上げていく対話そのものに価値を見出してくれているからではないでしょうか。その上で地域のさまざまな課題に協力して対応し、さらにはグローバルな課題の解決に共に取り組んでいければ、JICAの協力の効果にも大きなレバレッジをかけることができるはずです。
JICAはこれからもASEAN諸国の声を聞きながら、そして東南アジアの優れた部分については謙虚に学びながら、地域全体の成長を支え、地域と世界の課題解決のために新しい価値を共に生みだす「真のパートナー」であり続けたいと考えています。
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