またやられてる!ロシアの見かけ倒し主力戦車T-90Mの長い断末魔
Video Shows Destruction of Russia's Advanced T-90 Tank: 'Just Disappeared'
ロシア軍が誇るT-90Mの残骸はウクライナ軍の大きな勲章(2022年5月9日、ウクライナ東部ハルキウ州) REUTERS/Vitalii Hnidyi
<T-90Mに最新鋭のT-14アルマータ、ロシアの新型戦車の出来は実に素晴らしい、実戦に出るまでは>
ウクライナとロシアの双方が地面の凍結する冬の到来を待つなか、新たな動画が浮上した。ウクライナ軍のドローンが前線でロシアの期待の星だった最新式戦車「T-90M」を破壊した動画だ。無敵と思われた同型戦車は断末魔のようにもがき苦しみ、突如炎に包まれたかと思えば一瞬で鉄屑と化す。
この動画が撮影された時期と場所、戦車がロシア軍のものかどうかについては、ニューズウィークの独自の取材では確認できなかった。
T-90戦車が破壊される姿は最初こそ衝撃的だったが、今ではさほど珍しくない。これまでにもネット上に多く出回っており、ウクライナ軍にとっては格好のプロパガンダになってきた。8月中旬には、ドローン攻撃を受けて崖から転がり落ちるT-90の動画が公開された。10月下旬にはウクライナ国防省が、爆発物を積んだドローンがT-90を攻撃する動画を公開した。
別名「プロリフ(突破)-3」と呼ばれるT-90M戦車を、ロシアは自賛してきた。ロシア国営メディアは2022年12月下旬、T-90Mが初めてウクライナに配備されたことを高らかに報じている。「T-90戦車ファミリーのなかでも最新鋭の装甲車両であり、現代の戦場における作戦に最も適している」と、タス通信は書いた。新型の強力な弾を発射できる125mm砲とミサイルを搭載しており、夜間でも稼働でき、ほかの戦闘車両と通信するための高度な通信システムも備えている、と。
タス通信によれば、T-90Mの装甲は、英国軍をして「革命的」と呼ばしめた別の戦車「T-14アルマータ」と同じ頑丈なものだったはずなのだが。もっとも、かつては並外れた戦車と思われていたT-14は、取り扱いが複雑でトラブルが多いために配備の遅れに悩まされており、これもロシア軍にとって期待外れであることが明らかになっている。
軍事技術と防衛を専門とするマイケル・ペックは2023年3月、本誌の取材に対し、T-90Mは「一見すばらしいが、ロシアの戦車はいつも良く見える。実践で使われるものは」と語った。
ロシアがウクライナで失なった戦車はかなりの数にのぼると見られる。オランダのオープンソース・インテリジェンス軍事情報サイト「オリックス(Oryx)」によれば、 2022年2月24日から2023年10月はじめにかけて、ロシアは少なくとも2472両の戦車をウクライナで失ったという。その数字のうち50両はT-90Mだ。そのほか、34両のT-90Aが、破壊されたか、損傷を受けたか、鹵獲もしくは放棄された。
(翻訳:ガリレオ)