「開き直り」ネタニヤフは、なぜ一時休戦を受け入れたのか?...「犬猿の仲」バイデンと「仲直りハグ」した裏事情
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世界の見る目が変わった
この紛争に終わりは見えない。10月7日の戦闘開始以降、ハマスの戦闘員がガザを囲むフェンスを突破してユダヤ人(大半は民間人)1200人を惨殺し、多数の人質を連れ去った。対してイスラエルは猛烈な空爆を連日展開し、予備役を動員して大規模な地上侵攻に出た。
イスラエル軍はハマスの拠点が住宅地に、それも病院や学校の地下にあると主張している。一方でガザの保健当局は、爆撃で既に1万3000人以上が死亡したとしている(ただし民間人の割合は明らかにされていない)。
世界中で抗議行動が起こった。イスラエルに停戦を求める声が多く、ハマスによる虐殺や、今も続くロケット弾攻撃への非難は少ない。
アメリカのジョー・バイデン大統領は当初からイスラエルの自衛権を支持する一方、公式にも非公式にも、ネタニヤフとその戦時内閣に対し、国際法を遵守し、民間人の犠牲を最小限にとどめるよう求めていた。人道支援と人質解放のための「一時休戦」も強く求めていた(今回の人質には少なくとも10人のアメリカ人が含まれる)。
人質解放での合意が発表されたのは11月21日だが、その数時間前に現地紙タイムズ・オブ・イスラエルのポッドキャストで興味深い分析が流れた。イスラエル政府はなぜ強硬姿勢を取り続けるのか、その理由を2つ挙げて解説する内容だった。
まずは本音。何をやっても世界中から非難されるのだから、もう国際世論など気にしないでわが道を進み、自国の利益を守るしかないと開き直っているに違いない。
だが、別に戦略的な理由もあるという。ネタニヤフの強硬な発言は、実は西側諸国に向けたものではなく、ハマスへの間接的な脅迫だという。今までとは違うぞ、今回は容赦しない、妥協はあり得ないぞというメッセージだ。
しかし結局、ネタニヤフは複数の圧力に負けた。まずはアメリカ政府からの圧力。これは無視できない。バイデンは危険な綱渡りを承知で、日頃から仲の悪いネタニヤフを抱擁してみせ、イスラエルを全面的に支持すると世界に向けて宣言した。
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その言葉に嘘偽りはなさそうだが、そこには戦術的な意味もあった。抱擁で仲直りの姿勢を見せる一方、裏では強い圧力をかけていた。
この押したり引いたりの巧みな首脳外交がなければ、イスラエルはより早く地上侵攻を始め、より激しく空爆を続け、ハマスの降伏を伴わない人質取引には応じなかったはずだ。