ヨーロッパに「鉄のカーテン」が復活──ロシアの新種の嫌がらせに、たまらず国境閉ざすフィンランド
New Iron Curtain Descending on Putin's Russia
近頃の難民は自転車でやってくる?──フィンランドに入ろうとする「難民」はロシア国境警備隊の支援を受けているという主張も(11月21日、国境検問所があるフィンランド北部のサッラ)Lehtikuva/Jussi Nukari/REUTERS
<NATO加盟の報復に「自転車難民」を送り込んでくる?ロシアの新種の攻撃を防ぐには、人権保護に厚いフィンランドも壁を築くしかない>
フィンランドは、ロシアとの国境からの入国制限を強化している欧州諸国の一つだ。際限なく続く亡命希望者は、フィンランドを弱らせるためにロシアが送り込んでいる「武器」だと非難している。
ある専門家は本誌の取材に対し、ロシアは、NATO加盟でアメリカと軍事同盟を組んだフィンランドの決意を試そうとしていると語り、状況はさらに悪化する可能性があると付け加えた。
フィンランドでは南部の国境から入国を求めるイラク、イエメン、ソマリアなどからの亡命希望者が急増し、11月16日、ロシアとの国境にある9カ所の検問所のうち4カ所を2月18日まで閉鎖すると発表した。
フィンランド国境警備隊によると、フィンランド南東部にあるバーリマー、ヌイヤマー、イマトラ、ニイララの各交差点に障壁が設置された。この4カ所は両国間の最も交通量の多い地点で、1日あたり約3000人が国境を超える。
この動きを見たノルウェーのエミーリエ・エンゲル・メヘル法務大臣は、ロシアからノルウェーへの越境者が急増した場合、極北にあるロシアとの国境を閉鎖する用意があると警告した。
越境阻止に動く近隣諸国
一方、バルト三国のエストニアでは、ソマリアからの移民8人が国境都市ナルバを経由してNATOおよびEU加盟国に入国しようとする事件があり、必要とあればロシアとの国境通過点をすべて閉鎖すると発表した。
エストニア政府は、東部ナルバにあるロシアとの国境に、対戦車用の「竜の歯」という障害物を設置するよう命じた。ラウリ・ラーネメッツ内相は、ロシアが「理由もなく」亡命希望者を国境に向かわせていると非難した。エストニアは、書類も許可もなしに国境を越えようとする人々を全員送還した。
ヨーロッパ各国のロシアとの国境における緊張を如実に物語るのが、ニイララ国境駅でのフィンランド国境警備隊と移民の対立を撮影した動画だ。ソーシャルメディア上で共有された画像には、自転車で国境に集まった難民たちの姿が写っている。
フィンランドはロシアと1340キロに渡る国境を接している。