ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃破、「海上ドローン」攻撃の瞬間を捉えた映像を公開
Crimea Video Shows Ukraine Stealth Attack on Russian Landing Ships
クリミア橋の近くを航行するロシアの艦艇(7月17日) Alexey Pavlishak-Reuters
<黒海におけるロシア軍の防空体制の一翼を担う黒海艦隊の揚陸艇2隻に、水上ドローンが攻撃を成功させたとウクライナ軍が発表>
ウクライナ軍は、クリミア半島の港に停泊中のロシアの揚陸艇2隻に海上ドローン(無人機)で夜間攻撃を行った。ウクライナ軍情報機関は攻撃により損壊を与えたと11月10日に発表し、その模様を捉えた動画を公開した。ドローンに搭載されたカメラで撮影された映像には、敵に気付かれることなく揚陸艦に突っ込み、爆発させる瞬間が残されている。
■【動画】ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃破、「海上ドローン」攻撃の瞬間を捉えた映像
「一時的に占領下に置かれたクリミアにおける夜間作戦で、(ウクライナ軍の)兵士たちはロシアの黒海艦隊に属する小型の揚力艇を損壊させた」と、ウクライナ国防省情報総局はメッセージアプリ・テレグラムの公式アカウントで発表した。
黒海に突き出したクリミア半島では今、情勢が一段と緊迫している。半島奪還を目指し、ウクライナ軍が攻勢を強めているためだ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの地をロシアが武力で一方的に併合した2014年以前の状態に戻すと宣言している。
公開された1分近い動画には、1機のドローンが艦船に接近し、夜空に煙が上がる模様が写っている。ウクライナ軍はロシア兵と装甲車両を載せた揚陸艇を狙ってドローンを発射し、見事衝突させたと、ウクライナ情報総局は説明している。
黒海における防空のために使用されていた艦艇
同局の見るところ、標的になったのはセルナ級揚陸艇だ。米政府系の自由放送(ラジオ・リバティー)によれば、小型のセルナ級揚陸艇は貨物45トンと92個の重武装部隊を積載できるという。
「占領軍は、トールM2対空ミサイル・システムを活用した黒海における防空のために、これらの艦艇を使っていた」と、ウクライナ国防省はX(旧ツイッター)の公式アカウントで述べている。
本誌はこの発表の真偽を独自に確認できなかったため、ロシア国防省にメールでコメントを求めた。同省は11月10日に2機のドローンが夜間にクリミアを攻撃したことを認めているが、詳細は明かさなかった。
クリミア半島周辺ではここ数週間、ウクライナ軍の攻撃が一段と活発化し、ロシア軍が守勢に回る状況が続いている。ウクライナ国防省に近い複数の専門家は以前、ウクライナ軍はクリミア解放に向けたステップとして、黒海艦隊を「無力化」する戦略を進めていると本誌に語っている。