最新記事
ウクライナ戦争

ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃破、「海上ドローン」攻撃の瞬間を捉えた映像を公開

Crimea Video Shows Ukraine Stealth Attack on Russian Landing Ships

2023年11月16日(木)20時21分
イザベル・バンブルーゲン
クリミア橋の近くを航行するロシアの艦艇

クリミア橋の近くを航行するロシアの艦艇(7月17日) Alexey Pavlishak-Reuters

<黒海におけるロシア軍の防空体制の一翼を担う黒海艦隊の揚陸艇2隻に、水上ドローンが攻撃を成功させたとウクライナ軍が発表>

ウクライナ軍は、クリミア半島の港に停泊中のロシアの揚陸艇2隻に海上ドローン(無人機)で夜間攻撃を行った。ウクライナ軍情報機関は攻撃により損壊を与えたと11月10日に発表し、その模様を捉えた動画を公開した。ドローンに搭載されたカメラで撮影された映像には、敵に気付かれることなく揚陸艦に突っ込み、爆発させる瞬間が残されている。

■【動画】ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃破、「海上ドローン」攻撃の瞬間を捉えた映像

「一時的に占領下に置かれたクリミアにおける夜間作戦で、(ウクライナ軍の)兵士たちはロシアの黒海艦隊に属する小型の揚力艇を損壊させた」と、ウクライナ国防省情報総局はメッセージアプリ・テレグラムの公式アカウントで発表した。

黒海に突き出したクリミア半島では今、情勢が一段と緊迫している。半島奪還を目指し、ウクライナ軍が攻勢を強めているためだ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの地をロシアが武力で一方的に併合した2014年以前の状態に戻すと宣言している。

公開された1分近い動画には、1機のドローンが艦船に接近し、夜空に煙が上がる模様が写っている。ウクライナ軍はロシア兵と装甲車両を載せた揚陸艇を狙ってドローンを発射し、見事衝突させたと、ウクライナ情報総局は説明している。

黒海における防空のために使用されていた艦艇

同局の見るところ、標的になったのはセルナ級揚陸艇だ。米政府系の自由放送(ラジオ・リバティー)によれば、小型のセルナ級揚陸艇は貨物45トンと92個の重武装部隊を積載できるという。

「占領軍は、トールM2対空ミサイル・システムを活用した黒海における防空のために、これらの艦艇を使っていた」と、ウクライナ国防省はX(旧ツイッター)の公式アカウントで述べている。

本誌はこの発表の真偽を独自に確認できなかったため、ロシア国防省にメールでコメントを求めた。同省は11月10日に2機のドローンが夜間にクリミアを攻撃したことを認めているが、詳細は明かさなかった。

クリミア半島周辺ではここ数週間、ウクライナ軍の攻撃が一段と活発化し、ロシア軍が守勢に回る状況が続いている。ウクライナ国防省に近い複数の専門家は以前、ウクライナ軍はクリミア解放に向けたステップとして、黒海艦隊を「無力化」する戦略を進めていると本誌に語っている。

自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・寄り付き=ダウ約300ドル安・ナスダ

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中