パレスチナに肩入れする国際世論に多くのイスラエル人が開き直っている...ガザ包囲「4段階作戦」の出口は
No End in Sight
ガザ地区に続々と入っていくイスラエル軍の戦車(11月1日) AP/AFLO
<国際社会が求める即時停戦に応じず、ハマス掃討を目指すイスラエル軍。なぜ攻撃を中止しないか、「戦後」の方策はあるのか>
イスラエルは今後何カ月もかけてイスラム組織ハマスを徹底的につぶす構えだ。多くの国々から即時停戦を求める声が上がっているのに、いや、上がっているからこそ、攻撃を中止する考えはない。
イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は先日の記者会見で「4段階の戦争」について語った。今は第2段階。「地上活動の拡大」の段階だ。地上軍と空爆でガザ市を包囲し、ハマスが築いた広大なトンネル網と指揮系統を破壊する。この段階は「何カ月も」続くと、ガラントは見据える。
第3段階では「残った小さな抵抗拠点」をしらみつぶしに破壊し、パレスチナ自治区ガザ地区の統治をハマスとイスラエル以外の第三者機関に委ねる準備をする。ただし、この機関が何なのか、何に委ねるべきかはまだ見えない。
ガラントによれば、第4段階は「イスラエルがガザの人命に責任を負う状況の終結」だ。これについても誰が責任を負うのか、他のテロ組織や武装勢力の台頭をどうやって防ぐかは何も決まっていない。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は停戦の呼びかけに全く耳を貸さない。いま停戦に応じれば、10月7日の奇襲で約1400人のイスラエル人を殺し、200人以上を拉致したハマスに降伏することになる、というのだ。
10月30日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿した論説でネタニヤフは、ハマスはイスラエルのみならず、人類の文明に対する脅威だと断定。アメリカは真珠湾攻撃後に旧日本軍と、あるいは9.11同時多発テロ後にアルカイダと停戦に応じたか、と問うた。
ジョー・バイデン米大統領はイスラエルの自衛権行使を支持しつつも、民間人の犠牲を最小限に抑えるようネタニヤフに働きかけている。
米国務省のマシュー・ミラー報道官は10月30日、ヨルダン川西岸の「パレスチナ人住民を過激な入植者の暴力から守り」、こうした入植者や、彼らの行為を止めようとしないイスラエル兵の「刑事責任を問う」ようイスラエル政府に強く求めた。
10月7日のハマスの奇襲以降、10月末までに西岸ではユダヤ人入植者が少なくとも115人の罪のないパレスチナ人を殺した。加えて2000人余りが負傷し、1000人近い人々が家を追われた。
こうした襲撃は多くのパレスチナ人の、またパレスチナ自治政府の不信と怒りを駆り立てる。それによりパレスチナとイスラエルの和解の可能性は一層遠のくことになる。