李克強急死でも反政府デモが不発だった理由
What ex-premier Li Keqiang's death means for Xi Jinping's China
「それは『人民日報』に掲載された公式な追悼記事からも明らかだ。この追悼記事は、李克強が「共産党中央委員会および共産党の中核としての習近平総書記の立場を断固として守った」と言明。国民に対して『悲しみを強さに変え』、『李氏の革命精神から学び』、また『習近平同志を中核とする共産党中央委員会を中心にさらに固く団結』するよう呼びかけている。つまり李克強氏のレガシーを称えるためには、今後も習近平を敬い続けることが必要だという主張だ」
リー・クアンユー公共政策大学院のウーは、李克強は胡耀邦や趙紫陽のように、その死が大規模な抗議デモを引き起こすような改革派ではなかったとして、大規模な抗議活動に関する憶測には懐疑的な見方を示した。
「李克強は実質的には改革派ではなく、胡耀邦や趙紫陽のように中国国民に対して社会的な影響を与えることはなかった。経済に関するアイデアは、鄧小平のような過去の指導者からの受け売りだった。だから李の死が反政府の大規模な運動に発展する可能性は低いだろう」とウーは本誌に語った。
政策論争で習に完敗
米非営利組織「フリーダム・ハウス」の中国・香港・台湾問題担当調査ディレクターである王亚秋は、中国のエリート政治に対する李克強の影響力が低下したことで、習の権力が拡大したと考えている。
王は本誌に最近寄稿した論説記事の中で、次のように述べていた。「中国にとって残念なことに、李克強は政策論争のあらゆる場面で習近平に完敗した。彼は中国共産党による支配の歴史の中で、最も権力のない首相と考えられていた。習がますます多くの権力を握るにつれ、李の権威は低下していった」
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