イスラエルの上にヒズボラの大型ロケット弾「ブルカン」の雨が降る?
Hezbollah Targets Israel With 'Volcano' Rockets as Tensions Soar
ヒズボラの攻撃を受けたイスラエルの軍事施設とされる動画より(11月4日) Islamic Resistance/Telegram/REUTERS
<レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが遂に、ロケット弾でイスラエルを攻撃した。軍事力でハマスを圧倒的に上回ると言われるヒズボラが遂に本格参戦を決めたのか>
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは11月4日、「ブルカン(アラビア語で『火山』)と呼ばれるロケット弾でイスラエルを攻撃した。イスラエルはイスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区への攻撃を続けているが、北にあるレバノンとの国境地帯でも緊張が高まっている。
AP通信は4日、イスラエルがレバノン国境で空爆を行う一方で、ヒズボラもイスラエルの軍事施設に対し数回の攻撃を行ったと報じた。このうち一方の軍事施設には、2基のブルカンが撃ち込まれたという。ブルカンは射程は短いが大型(火薬約400キロ)の弾頭を搭載している。市街地に対する破壊力は大きい。
今回の攻撃の応酬は、10月7日にハマスがイスラエルに侵攻して約1400人を殺害したのを発端に、イスラエルとハマスが武力衝突を続ける中で起きた。APによれば、イスラエルの反撃によりガザ地区では9000人を超えるパレスチナ人が死亡した。ハマスとヒズボラは同盟関係にあるとみられており、どちらもアメリカ政府からテロ組織に指定されている。
ロケット弾動画は本物か
ブルカンによる攻撃の前日、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララは、レバノンとイスラエルとの国境地帯においてイスラエルに対する前例のない水準の攻撃を行っていると主張するとともに、「いつでも」紛争を拡大する用意があると述べた。
4日のヒズボラによるロケット弾攻撃とみられる動画が地元メディアやソーシャルメディアで出回っている。X(旧ツイッター)では、攻撃により大きな爆発が起き、煙が立ち上る動画が話題だ。これは当初、ヒズボラの攻撃の映像として投稿されたが、イスラエルによるものだとの主張も出て議論となっている。本誌はどちらの主張が正しいか確認できていない。
イスラエル軍にコメントを求めたところ、同軍の広報部門は「北部国境にどんな事態の推移にも(対応する)態勢は整っている」とだけ述べた。
ヒズボラの広報部門にも電子メールでコメントを求めたが回答は得られていない。
3日、ナスララは先月7日のハマスのイスラエル攻撃以降初めてカメラの前に姿を現し、中東における紛争の拡大を食い止めようとしているアメリカに警告する内容の演説を行った。