新たな「テロの時代」...? ハマスの「活躍」で過激派組織にたぎる野望、リクルート活発化の兆候も【アニメで解説】
Newsweek Japan-YouTube
<ハマスの「活躍」が世界中のイスラム過激派や反ユダヤ主義者を刺激か。新たなテロのリスクについて解説したアニメーション動画の内容を一部紹介>
イスラム組織ハマスがイスラエルにテロ攻撃を仕掛けたことで、過激思想に染まった不満分子による無差別テロが欧州各地で相次いでいる。テロ組織ではリクルート活動も活発化しているというが──。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「ハマス奇襲で「テロの時代」再び...IS、アルカイダ、タリバンでリクルートの動きが活発に?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。
情報機関によると、イスラム過激派や反ユダヤ主義者はハマスの作戦に触発されて新たな攻撃方法を探っている可能性があるという。
鳴りを潜めたように見えるアルカイダやIS(イスラム国)、タリバン系列の組織だが、実のところ、ひそかに影響力を広げて襲撃の規模と残虐性を競い合っているようだ。新兵を募って資金や武器を入手するためには、残虐極まりない襲撃を世界に見せつけてその名をとどろかす必要がある。
10月中旬には、機密情報を共有する英語圏5カ国(米英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の協力の枠組み「ファイブアイズ」の会合が米カリフォルニア州で開かれた。この会合後に5カ国の代表は共同声明を発表。中東の危機を原因とするテロの脅威が増大していると警告した。
ヨーロッパではイスラム過激派絡みの襲撃が相次いでおり、10月16日にはベルギーの首都ブリュッセルでサッカーの試合中に、ISのメンバーを名乗る男によってスウェーデン人サポーター2人が射殺された。
イタリアではISの新兵募集を行っていた疑いで2人の男が逮捕され、ベルリンではシナゴーグ(ユダヤ教会堂)に火炎瓶が投げ込まれた。フランスでは高校教師がチェチェン共和国出身の男によって刺し殺される事件も発生。犯人はアラビア語で「神は偉大なり」と叫んだ。ほかにも同様の事件が起きたフランスでは、当局がテロ警戒を最高レベルに引き上げた。
奇襲攻撃で世界を驚かせたハマスに注目が集まっているが、テロ増加の背景としてタリバンの影響も無視できない。2021年の米軍撤退でアフガニスタンの政権にタリバンが復帰したことで、世界中の過激派が大胆になったとアナリストらは指摘する。
タリバン支配下でアフガニスタンは再び「テロの温床」となった。「タリバンの復権が、新しい世代の過激派戦闘員を訓練し教育する絶好の機会をもたらした」とイスラム学者のモハマド・モヘクは語る。教育制度を大幅に見直され、少年たちはマドラサ(イスラム神学校)で過激派のイデオロギーをたたき込まれているという。
そしてイスラム主義者は、タリバン復権の延長線上に「イスラエルの破壊」を位置付けている。
米下院外交委員長のマイケル・マコールは、CNNに「タリバンがエルサレムを解放するために、彼らの言葉で言えばシオニストと戦うために、現地に行きたがっている兆候がある」と語った。既に100人以上のタリバンの狙撃兵がガザに派遣されていると、モヘクはみている。
またヨーロッパでは、この1年に逮捕された多くのテロリストの共通項である「IS」に注目が集まっている。「ISは明らかに自分たちの関与を示そうとしている」と、過激派対策プロジェクトのシニアディレクター、ハンスヤコブ・シンドラーは言う。
「テロ組織は自分たちの力を見せつけなければならないという必要に駆られ、そのためにますます危険な存在になっていく」
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