CEOを解任されたアルトマンの速攻ヘッドハントでマイクロソフトの株価が史上最高値
Microsoft Stock Soars After Sam Altman OpenAI Firing
AI規制の必要性について米議会で証言するアルトマン(5月16日、ワシントン) REUTERS/Elizabeth Frantz
<対話型生成AI「チャットGPT」を開発したオープンAI社でまさかのクーデター。ウォール街は、失職したアルトマンを雇うと表明したマイクロソフトが正しいと思っているようだ>
マイクロソフトの株価が史上最高値を記録した。これは、同社が株式を持つAI(人工知能)開発企業、オープンAIを解任されたサム・アルトマンCEO(最高経営責任者を、マイクロソフトが雇うと発表したことによるものだ。
オープンAIの取締役会が11月17日、アルトマンの解任を決議したことで、この週末は社内外が大混乱に陥った。アルトマンは従業員や投資家からの支持を得ていたが、取締役会は解任の方針を変えなかった。
アルトマンが開発したオープンAIの対話型生成AI「チャットGPT」が登場してわずか1年で起きた解任劇の背景には、今後のAIの開発方針についての社内の対立があった。
従業員はアルトマンの解任に反発し、約770人の社員のうち約650人が取締役の辞任と、アルトマンと共同創業者のグレッグ・ブロックマンの復職を要求する書簡を提出する事態を招いた。
テクノロジー分野を専門とするジャーナリスト、カーラ・スウィッシャーが公開したこの書簡は、取締役会はオープンAIのミッションを危機にさらし、同社の事業を弱体化させると非難する内容だった。
ナデラの二正面作戦
オープンAIでのクーデター発生を受けて、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは19日、電光石火の速さでアルトマンとブロックマンを同社の新たなAI研究部門のトップとして迎え入れると表明した。マイクロソフトの株価が急上昇したのは、ウォール街がナデラの決断を「買い」と判断したしるしだ。
テック業界を担当するベテラン・アナリスト、ダン・アイブスは、今回のクーデターをマイクロソフトの戦略的好機と捉え、マイクロソフトの目標株価を425ドルに引き上げた。「アルトマンとブロックマンを引き入れたことで、AI分野でマイクロソフトはさらに優位に立ったとみられる」からだ。
グーグル・ファイナンスのデータによると、マイクロソフトの株価は11月20日、前日比で2.05%高となる377.44ドルの終値をつけた。
新部門が成功を収めた場合、マイクロソフトはオープンAIの49%の株式を持ち続けながら、他方ではアルトマンがAI分野で新たに築くグーグルやアマゾンに対抗する新事業をも傘下にもつことになる。
アイブスによれば、今回の決断によりマイクロソフトは、オープンAIの先進的な対話型生成AIモデルへのアクセスを確保しつつ、アルトマンが率いる新部門で新たな技術開発を進めることができるという。
(翻訳:ガリレオ)
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