アルツハイマー病、治療薬の次はワクチン 少なくとも7つの臨床試験が進行あるいは終了段階に
門は開かれた
バクシニティはワクチン「UB─311」の小規模な第2フェーズ臨床試験を既に終えており、最も開発が進んでいる企業かもしれない。メイメイ・フー最高経営責任者(CEO)は、レケンビの成功によって長らく疑問視されてきた仮説が立証されたと語った。
「分かっているのは、特定の悪い形のアミロイドを除去すれば、臨床結果に効果が現れるということだ。これは素晴らしい」とフー氏は言う。
台湾で43人の有志を対象にバクシニティが行ったフェーズ2a試験のデータでは、同社ワクチンは78週間後の段階で安全性と忍容性を示し、ほぼ全ての参加者が抗体反応を示した。
脳腫脹の症例はなかったが、14%(6人)が脳出血を発症した。脳出血は点滴型の治療でもよく見られる副作用だ。このデータは8月に公表された。
バクシニティは、より大規模な確認試験に資金を提供してくれるパートナーを探していたが、ここ数年の環境は「かなり冷え切っていた」とフー氏は語る。「レケンビが承認されたことで門戸が開かれ、熱意が高まり投資も大幅に増えた」と述べた。
過去の失敗
最初に開発が試みられたアルツハイマーワクチンは有用性を示していたものの、免疫系のT細胞からの制御不能な反応を引き起こしてしまった。
現在、開発中の新ワクチンのほとんどは、抗体を生成する免疫細胞であるB細胞を標的としている。
ACイミューンのワクチンはB細胞のみを活性化すると、南カリフォルニア大学のマイケル・ラフィイ博士は言う。
ラフィイ氏が主導した第1フェーズ試験で、ACのワクチンは髄膜脳炎を起こさなかったものの、免疫反応を示したのは参加者の一部にとどまった。同社は現在、改良版の試験を行っている。
ACはまた、医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)と、有毒なアルツハイマー病タンパク質、タウを標的とするワクチンについて共同研究を行っている。
一方、プロテナは来年、アルツハイマー予防を目的として、ベータアミロイドとタウの両方を標的とするワクチンの試験を開始したいと考えている。
プロテナのジーン・キニーCEOによると、同社のワクチンは高レベルの成熟した抗体を生成する。このようなワクチンは通常、免疫系統の弱い高齢者に投与されるため、強い免疫反応を起こすことが重要だとキニー氏は説明した。
同氏は、アルツハイマーの症状が出る前の人々にとってワクチンは理想的なものだと考えている。「何より望むのは、病気の発生を未然に防ぐことだ」と同氏は語った。
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