最新記事
ウクライナ情勢

ロシア軍、冬季攻勢で疲弊したウクライナに襲いかかる備え──ミサイルは使わずに備蓄

'Powerful' Russian Attacks on Fatigued Ukraine Are Imminent: Zelensky

2023年11月20日(月)15時58分
エリー・クック
ウクライナの首都キーウの上空で爆発したロシアのドローン

ウクライナの首都キーウの上空で爆発したロシアのドローン(5月28日)  REUTERS/Gleb Garanich

<侵攻から3度目の冬、戦争に疲れたウクライナ人の上に力を溜めたロシア軍が強力な攻撃を仕掛けてくる、とゼレンスキーが警告>

【動画】厳冬を目前に電気も水もないウクライナ

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国民の戦争疲れが見える中、厳しい冬を前にロシアがまもなく「さらに強力な」攻撃を開始するとの見通しを示した。

ゼレンスキーは11月18日の演説で「冬が近づく中、ロシアはさらに強力な攻撃を増やしてくるだろう」と述べた。

「ウクライナにいるわれわれ皆が100%、実戦能力をもつことが欠かせない」と彼は述べた。「あらゆる困難やあらゆる疲れ、ウクライナを弱体化させようというあらゆる試みにも関わらずだ」


2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻で、ロシアはミサイルや無人機による攻撃を続けてきた。2022年の秋から冬にかけては、ウクライナのエネルギー関連施設を標的にした攻撃が行われた。今年も同じ戦術が採られるとみられている。

「ここ数カ月、ロシアはミサイルをあまり使ってこなかった。そこそこの量の備蓄ができているはずだ」と、ハーグ戦略研究所(HCSS)の戦略アナリスト、フレデリク・メルテンスは10月下旬、本誌に語っていた。「標的として最も筋が通るのは、ウクライナのエネルギー関連インフラだろう。そしてタイミングとして最も筋が通るのは、エネルギーが最も必要とされる冬だ」

クリミアにミサイル備蓄

11月に入ってゼレンスキーは、ウクライナ国民に対し「敵がわが国のインフラに対する無人機やミサイルの攻撃を増やすかも知れないという事実」に備えるべきだと呼びかけている。

「ここウクライナでは、すべての注意は防衛に向けられるべきだ」と、ゼレンスキーは12日、防空システムの重要性を強調した。ゼレンスキーは以前から、ウクライナは攻撃から身を守るだけでなく「対応する」と述べてきた。

ウクライナの複数の高官も、冬期にウクライナ国内のエネルギー関連施設に向けて攻撃を行うため、ロシアは800発のミサイルをクリミア半島に備蓄しているとの見方を示している。

ウクライナ軍の報道官によれば、ロシア軍はクリミア半島で艦船発射型の巡航ミサイル「カリブル」や、対艦巡航ミサイル「オニキス」の備蓄を増やしているという。16日に国内メディアが伝えたところでは、この報道官はロシアが「明らかにミサイル能力を増強している」と述べたという。

19日、ウクライナ軍の幕僚はロシアが前夜、ウクライナに向けて飛ばした自爆型無人機(ドローン)を多数、補足したと明らかにした。イラン製の無人機「シャヘド」で、防空システムが20機のうち15機を破壊したという。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米大手行幹部、商務長官と会談 相互関税発表翌日に協

ワールド

約50カ国が米に接触、関税巡る協議に向け=USTR

ビジネス

情報BOX:世界の大手企業、関税の影響にらみ米事業

ビジネス

一部の価格上昇、関税の影響を先取りしたもの=クーグ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼
  • 4
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 7
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 8
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 9
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中