アメリカがウクライナを見捨てる日...米大統領選が戦争の結果に影響か?
THE WAR OVER THE UKRAINE WAR
「同盟相手のウクライナの人々は、イラクやアフガニスタン、シリアやリビアにはいなかったタイプだ」と、元駐ウクライナ米大使のジョン・ハーブストは言う。「(身の安全のため)避難しようとわれわれが提案したら、ゼレンスキーは『武器をくれ』と言った。だがタリバンによるカブール制圧が迫ったとき、(当時のアフガニスタンの)アシュラフ・ガニ大統領は逃げ出した」
自力で戦い続けるというウクライナの覚悟が、この戦争をブッシュ時代の中東における「永久戦争」と比較しにくくしていると、ハーブストらは指摘する。イラクとアフガニスタンではアメリカとそのパートナーが初期の戦闘のほとんどを行い、その後、現地の治安部隊に従来型の常備軍を持たない反乱勢力と戦う訓練を実施した。
一方、ウクライナの戦闘部隊は非常に士気が高く、開戦当初に大部分を占めていた旧ソ連時代の兵器に外国製の最先端兵器をうまく統合した。そうした要因が、ウクライナの場合は国際社会から多額の援助が寄せられたこともあって、ヨーロッパにおける第2次大戦以来最大の地上戦で核超大国の本格的侵攻から国を守ることを可能にしている。
ウクライナ戦争は「自力で戦う覚悟の国を支援すれば最後には勝てる」というメッセージだと、フリードは言う。最終的にウクライナが勝てばバイデンの戦略の正しさが証明されるだろう。戦争が終結したとき「ウクライナが自由で安全なら、ロシア帝国再興というプーチンの夢は破れるだろう。それはアメリカにとって大成功だ」と、フリードは言う。
だが、ウクライナの勝利は確実ではない。トランプと他の共和党予備選候補が何をもってウクライナの成功とするかも同じくらい不透明だ。
トランプやデサンティスの孤立主義的傾向は、共和党支持者に受けがいいようだ。国民はバイデン政権のウクライナ政策をおおむね支持しており、今年6月のギャラップの調査では62%が引き続き「ウクライナの領土奪回」を支持すると回答した。だが共和党支持者では、49%が「速やかな紛争終結」を望むと答えた。
この調査結果は、保守派陣営で外交政策をめぐる亀裂が拡大していることを浮き彫りにしている。ブッシュが始めた戦争を共和党員の大多数が支持していた頃には想像できなかった状況だ。「トランプは共和党を大きく変えている」と、パターソンは言う。