最新記事
ロシア情勢

「プーチンは死の床で、世界が今見ているのは影武者」説を検証する

Has Putin Named His Successor? What We Know

2023年10月16日(月)17時30分
トム・ノートン

明日訪中予定のプーチンは本物か?(写真は2017年9月4日のBRICS会議で)  REUTERS/Wu Hong

<プーチン死後もしばらくは替え玉を動かしてスムースに権力委譲を進める計画が進んでいる?>

<動画>本物のプーチンなら「あり得ない」仕草......ビデオに映った不可解な行動に、「影武者説」が再燃

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とその政権は秘密のベールに包まれており、そのためプーチンについては健康不安説から影武者説まで根拠不明の「ニュース」が絶えない。

とりわけプーチンの健康状態は、近ごろ急激に悪化したと言われ、10月に入ってからはまさに死の淵にあり、それを隠すために「影武者」を使ったとの説が流れている。

複数の著名なネットメディアでも、「プーチンの健康状態は急激に悪化しており、死も近い」という主治医の診断が見出しに躍った。

この話の出所は「SVR将軍」というテレグラフチャンネルだ。SVR将軍はこれまでもプーチンの健康状態や権力の掌握ぶりについて、匿名の情報源の話として伝えてきた。

「プーチンの死後、あるいは権力を失った後しばらくは、影武者が使われる可能性はある、というのが一般的な理解だ」とSVR将軍は伝えている。

政権中枢が影武者「擁立」で合意?

「ほぼすべての利害関係者は、自分たちの思い通りに動く影武者の下で団結する用意ができている。唯一の問題は、誰が影武者を動かすかだ。(この作戦には)相互信頼が必要だが、あいにくそんなものは存在しない」

SVR将軍はまた、プーチン政権中枢の人々が「プーチン後のプーチン政権」をいかに作っていくかについてコンセンサスを作ろうとしていた、とも伝えた。この時は、次の大統領は安全保障会議書記のニコライ・パトルシェフになる、という前提だったそうだ。

プーチン自身が後継にしたいと考えているのはミハイル・ミシュスチン首相だが、他の高官たちはパトルシェフの方を推しているとも伝えている。

プーチンの健康状態に関しては、不自然な様子で座ったり動いたりしている様子が映ったビデオを根拠に、現在に至るまでさまざまな憶測が流されてきた。原因についても、末期癌からパーキンソン病まで様々な病気が取り沙汰されている。

信頼性がより高いだろうと思われる他の情報源によって、こうした噂の信ぴょう性が増した例もある。昨年7月、情報機関の幹部3人は本誌に対し、アメリカの機密報告書によればプーチンは2022年4月に進行癌の治療を受けたと語った。

同じ年、モスクワ・タイムズは独立系ニュースサイト「プロエクト・メディア」の調査報道を引用し、プーチンが2016〜2019年にソチの別荘を訪ねた際は甲状腺癌の専門外科医を含む医師団を伴っており、2016年11月に「手術を行った可能性もある」と伝えている。

 

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 9
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中