中国経済の「低迷」は終わりが見えず...それでも、習近平体制は「ビクともしない」と言えるワケ
NOT ABOUT TO GO AWAY
ナショナリズムの高まりを利用
純粋に経済だけを見ても体制崩壊が間近だとの見方は大げさだ。どこの国でも経済はおおむね典型的な発展パターンをたどる。高度成長、好況、そして景気後退。ポスト毛沢東時代では、中国経済は80年代前半に急成長し、2011年に減速し始めた。米政府の制裁と世界的に広がりつつある対中デカップリング(切り離し)により、さらに失速するとみられるが、こうした逆風が飛躍のバネとなり、新たな発展サイクルに入る可能性も否めない。
中国経済は「社会主義型の市場経済」であり、党と国家の強力な統制下に置かれている。共産党は国家のあらゆる資源を経済の発展に投入できるし、経済・金融システムの崩壊を防ぐためにも総動員できる。
しかも中国の人々が体制転覆を望んでいるような気配はほとんどない。トランプ政権が中国に貿易戦争を仕掛けて以来、中国では文化・政治的ナショナリズムが高まっている。共産党は経済の失速を西側のせいにし、国民のナショナリズム感情をあおって体制を維持できる。
共産党は国内で依然として強い権力と影響力を持っている。党員は9800万人を超え、中国共産主義青年団(共青団)は7300万人に上る。改革が必要になっても、現在の政治体制の中で共産党が改革を行うことは十分にあり得る。
歴史的に見ても共産党には自己刷新をする力があり、それこそが彼らが21世紀まで生き延びてきた理由でもある。インターネット、スマートフォン、AI(人工知能)など新しいテクノロジーは、民主主義を発展させるとともに、共産党が社会を安定させる力を高めるだろう。必要となれば、他国がそうしてきたように、民衆の大規模な集まりを防ぐためにインターネットを遮断することもできる。
こうした現実にもかかわらず、アメリカは共産党への幻想を捨てていない。毛沢東の死後、アメリカは鄧小平、江沢民、胡錦濤に大きな期待を寄せた。しかし、どの指導者も真の政治改革に全く関心を示さず、こうした期待は裏切られた。
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