最新記事
動物

ピラニアの群れがワニに襲い掛かり、激しく食い荒らす...アマゾンで撮影された衝撃映像

Pack of Piranhas Feasts on Dead Caiman in Terrifying Video

2023年9月17日(日)20時00分
ジェス・トムソン
ピラニア

flyingv43/iStock

<映画では恐ろしい「人食い魚」として描かれるピラニア。実際には人が襲われることは稀だが、死亡事故も発生している>

南米アマゾン熱帯雨林の川で、ピラニアがワニの死骸に群がり、激しく食らいつく衝撃的な映像が撮影された。この映像は、インスタグラムに投稿されたもので、カイマン(ワニの一種)の死骸を何匹ものピラニアが勢いよく食べている様子が捉えられている。

■【動画】アマゾン熱帯雨林の川で、カイマンの死骸に群がって激しく食い荒らすピラニアたち

「ピラニアはよく映画で人食い魚として描かれるが、実際はハンターというよりスカベンジャー(腐肉食者)だ」と投稿者は説明している。「ピラニアが食べるのは主に昆虫、魚、甲殻類、蠕虫(ぜんちゅう)で、時折カイマンの死骸を食べることもある。人間にとって危険なのは、彼らが挑発されたと感じたときか、飢えているときだけだ」

ピラニアは南米に生息する淡水魚で、30〜60種いると考えられている。最も大きいピラニアナッテリーは体長50センチほどに成長する。ピラニアは20匹前後の群れで行動し、鋭い歯を持つことで知られる。

映画ではよく、骨から肉を引き裂く様子などが描かれるが、実際にはピラニアはほとんどの場合、魚や水生爬虫類、植物しか食べない。ただ、かむ力は強く、2012年に学術誌「サイエンティフィック・レポート」に掲載された研究によると、ブラックピラニアのかむ力は体重の3倍にあたる約1.5キロもあった。

逆にピラニアを食べる捕食者はさまざまおり、カイマンもその1つ。カイマンは中南米に生息し、平均体長は2メートル前後だ。

「ピラニアはアマゾンの生態系の重要な一部であり、他の動物の個体数を抑制するのに役立っている」と動画の投稿者は説明している。「アマゾンで泳ぐことがあっても心配しないで。ピラニアのほうがあなたを恐れるだろう」

「人食い魚」は誤った認識だが

一般的なイメージとは異なり、ピラニアが人間を襲うことは稀で、襲われてもたいていは軽傷ですむ。ブラジルのパルマス市近郊の人工湖で2007年上半期に報告されたピラニアによる攻撃190件のうち、人が負った傷はすべて足を1回かまれたというものだ。

今年5月には、ブラジルのビーチリゾートで8人がピラニアにかまれて負傷した。ウェスタン・ケンタッキー大学のスティーブ・ハスキー生物学教授はこの出来事について、「ピラニアが人間に無闇に襲いかかることはない」とオンラインメディアのライブ・サイエンスに述べている。

人にかみついたのは「ピラニアが(人間が与える)エサに慣れているためで、ピラニアが人をかむというのは、サメの攻撃と同じように、誤った認識の一例だ」

ただ、ピラニアの攻撃がより獰猛になることも時折あり、実際にピラニアに襲われて人が死亡した例もある。2021年には、湖でハチの群れから逃れようとした男性がピラニアに襲われて死亡したと報じられた。2015年には、6歳の少女が乗っていたカヌーが転覆し、ピラニアに足をかまれて死亡している。


SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、対独戦勝80年で5月8-10日の停

ビジネス

独メルク、米バイオのスプリングワークス買収 39億

ワールド

直接交渉の意向はウクライナが示すべき、ロシア報道官

ワールド

トランプ氏へのヒスパニック系支持に陰り、経済や移民
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中