台湾総統選に「第4の候補」が乱入...「鴻海」創業者の出馬は勝算ありか、それとも暴走か
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野党陣営の分裂を露呈
果たして侯に、総統という大任が務まるのか。その懸念を国民党が何カ月も払拭できずにいる状況に業を煮やし、郭はついに無所属での出馬を表明した。
無所属で立候補するには、有権者の1.5%に相当する約29万人の署名を集める必要がある。大半の候補者にとっては途方もないハードルだが、郭の高い知名度に加え、国民党の公認候補である侯に対する懸念が広がっている現状を考えれば、実現不可能ではないだろう。
郭の出馬は、国民党にとって決して望ましい事態ではない。彼が選挙戦に加われば、侯の支持率低迷と、青色陣営の亀裂を露呈することになる。郭が当初、党の公認候補を支持すると表明していたことを考えれば、彼が無所属で立候補するという事実は党内に分裂が起きている表れにほかならない。
郭の出馬表明によって、2大政党以外から2000年以降では最も競争力を持つ候補者が出馬することとなり、選挙戦はさらに混迷の度を増していく。
いま支持率で2番手につける台湾民衆党の柯文哲(コー・ウェンチョー)は、2大政党間の対立に向けた有権者の不満に乗じようとしている。彼は青色陣営と緑色陣営のいずれにも分類されることを拒み、民衆党を新たな「白色陣営」と位置付けている。
自身を民進党とも国民党とも結び付けないのが、柯の根本的な戦略だ。柯はどちらの党が抱える問題にも縛られず、彼に対する支持の一部は主流派候補への幅広い不信感の裏返しである可能性が高い。
しかし緑と青の対立から距離を置こうとしながらも、柯の外交政策は保守的な青色陣営に近い。柯は首都・台北市長だったときに中国と都市レベルの交流を進めたことで中国政府にも顔が利くが、一方で対米政策は一貫性に欠ける。
柯は過去に、台湾は中国およびアメリカと「等距離」の関係を維持すべきだと述べた。だが柯は賛否の分かれる対中サービス貿易協定の復活を支持しており、政権を握れば台湾が経済的にも政治的にも中国寄りになる可能性がある。
統一候補への険しい道
中国へのアプローチが似ていることを考えると、柯は侯と国民党から一定の支持を吸い上げていた可能性が高い。そうなると郭の出馬によって、保守派の票がさらに分散することが予想される。
郭は出馬表明の中で、野党候補の会合を開いて団結を強調するよう呼びかけた。自身を野党統一候補に据えるよう促す意図があるのかどうかは分からない。