最新記事
兵器

「ロシアにとって深刻な脅威」...ウクライナの「段ボール製」ドローン、その驚きの攻撃力を示す動画

Video Shows Destructive Power of Ukraine's New 'Cardboard' Drones

2023年9月2日(土)11時25分
デービッド・ブレナン
段ボール製ドローンCorvo

@FriaUkraina

<8月27日にロシア国内の基地で戦闘機などを破壊したのは、ウクライナが導入した段ボール製ドローンだったとされている>

長距離兵器を使った攻撃を強化しているウクライナ軍は、ロシア国内の標的を攻撃するのに、新型の「段ボール製」ドローン(無人機)を使用したという。従来のもの以上に安価で製造できる段ボール製ドローンだが、攻撃力の高さはたしかなようで、その性能が見て取れる「攻撃」の様子を捉えた動画も拡散されている。

■【動画】安価な素材なのに、ここまでの威力...段ボール製ドローンCorvoによる攻撃の様子

ウクライナ人ジャーナリストのユーリイ・ブトゥソフが8月31日に自身のYouTubeチャンネルに投稿した動画には、ドローン1機(おそらく機密情報や構造を隠すためにボカシが入っている)が野原に置かれたダミーの標的の上で爆発する様子が映っている。撮影場所は分かっていない。

動画には、標的の上空に到達したドローンの視点から撮影されたショットが含まれ、その後ドローンが爆発し、大量の発射物をあたり一帯に撒き散らす様子が映っている。このドローンは「今やロシアの航空機にとって、深刻な脅威だ」とブトゥソフは書き添えている。

このドローン「Corvo(コルボ)」はオーストラリアの軍需企業SYPAQが製造したもので、8月27日にロシア西部クルスク州への攻撃に使われたとされている。段ボールが主体の構造のため、ロシアのレーダーに発見されにくいという強みもある。

スホーイ戦闘機やミグ戦闘機に命中

クルスクの飛行場に対する8月27日の攻撃とSYPAQ製ドローンを最初に結びつけたのは、メッセージアプリ「テレグラム」上にあるロシアのチャンネル「Fighterbomber」だった。ロシア西部のクルスク州は、ウクライナ北西の国境から約105キロメートルのところに位置している。ブトゥソフはドローンのデモ飛行動画の説明の中で、段ボール製のこれらのドローンがクルスクへの攻撃に使われたと述べている。

ウクライナ保安局(SBU)はこの攻撃作戦を称賛したが、どのような種類の無人機が使われたのかは明かさなかった。SBUの匿名の関係者はウクライナの英字紙キーウ・ポストに対して、無人機はクルスクのロシア軍基地にある「スホーイSu30戦闘機4機と、ミグ29戦闘機1機」に命中し、パーンツィリS1対空ミサイルシステムとS300地対空システムを損傷させたと述べた。本誌はこの件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

ウクライナの通信社であるRBCウクライナは、この攻撃で16機の無人機が使用され、このうち3機が撃墜されたとするSBUの匿名の関係者の発言を引用した。この人物によれば、攻撃はSBU防諜部門の第13局が実行したという。

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中