最新記事
ワグネル

プリゴジンは生きている? 死んだのは「替え玉」説

Fact Check: Does Passport Photo Prove Prigozhin Body Double Died in Crash?

2023年9月4日(月)16時39分
トム・ノートン

プリゴジンらを偲ぶ非公式の追悼台(8月26日、モスクワ)  REUTERS/Maxim Shemetov

<飛行機事故で死亡したワグネルの指導者プリゴジンは替え玉だったと信じる人は多いし、替え玉らしき人物の写真を紹介するTikTok動画もバズったが、証拠は何もない>

民間軍事会社ワグネル・グループの創設者エフゲニー・プリゴジンの死によって、ウラジーミル・プーチン大統領が主導するウクライナ戦争の行方に厳しい視線が注がれている。プリゴジンが率いていたワグネル・グループは、数万の傭兵を抱えてロシアのために戦っていたが、プリゴジンの墜落死によって現在は指導者不在のままになっている。

【写真】札束、金塊、クローゼットに並ぶ意外なもの...プリゴジン邸で撮影されたもの

プリゴジンは生前、失敗に終わった6月24日の反乱後ベラルーシに移動した戦闘員数万人が、ロシア国防省や国家警備隊との勢力争いで身動きがとれずにいると述べていた。

一方、プリゴジンはまだ「生きている」と確信する者もいる。TikTokのユーザーは、替え玉による隠蔽工作の証拠を示す動画を投稿した。

TikTokでフォロワー数10万人越えのユーザーBeautyMrkは8月31日の動画のなかで、モスクワ北西のトベリ州上空で起きた飛行機の墜落事故で死亡したのは、プリゴジン本人ではなく、替え玉だったと示唆した。動画は12万1800回閲覧された。

その後削除されたこの動画のなかで、BeautyMrkは、プリゴジンの「替え玉が飛行機事故で死亡した」と示唆する記事を引用した。

BeautyMrkは当初、記事に対して「いや、そんなことはないだろう」と反応したが、その後画面がプリゴジンの替え玉が持っていたとされるパスポートの写真に切り替わると、「おやおや、やっちまったようだな。これは本当に替え玉だ」と述べた。

存在した偽造パスポート

もっともBeautyMrkのTikTok動画は、先月の飛行機事故で死亡したのがプリゴジンではなく替え玉だった、という証拠は提供していない。

動画のなかで主に引用されていたのは、デイリー・メール紙に掲載されたロシアの政治学者バレリー・サラベイのコメントだった。サラベイは「政治アナリスト」とも「陰謀論者」とも言われる人物だが、プリゴジンは潜伏中で、墜落事故で死亡したのは替え玉だったと述べているようだ。

本誌は、これらのコメントの出所や内容を独自に確認することはできなかった。

デイリー・メールの記事には、プリゴジンの替え玉の一人のものとされる偽造パスポートらしき写真が掲載されている。写真の男は2020年以来プリゴジンとつながりのあるレオニード・クラサビンという人物ではないかと言われている。

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中