アフリカ中西部ガボンでクーデター、軍幹部が選挙に反発 大統領を自宅軟禁
アフリカ中西部ガボンで30日、軍幹部らが権力を掌握したとテレビ放送で表明した。Guardian News / YouTube
アフリカ中西部ガボンで30日、軍幹部によるクーデターが発生した。大統領選でボンゴ大統領が3期目の当選を果たしたと選挙管理当局が発表した後、軍幹部はテレビ放送で権力の掌握を表明、大統領は自宅軟禁状態にあるとした。
軍部は国内の全ての治安・防衛当局を代表しているとし、「深刻な制度的、政治的、経済的、社会的危機に瀕している」とした上で、透明性も信頼性もない選挙結果を取り消し、全面的に国境を閉鎖し、国家機関を解散すると述べた。
軍部はその数時間後に政権移行を指揮する人物を選ぶための会合を開き、元大統領府警備隊長のBrice Oligui Nguema氏を全会一致で選出した。
クーデターが成功すれば、2020年以降、アフリカ中西部では8回目のクーデターとなる。7月にはニジェールで発生したばかり。
64歳のボンゴ大統領は、父親の死去に伴い2009年に就任。父親は1967年からガボンを率いていた。軍部はボンゴ大統領の息子らを汚職と反逆罪の疑いで逮捕した。
自宅軟禁状態にあるボンゴ大統領はビデオを発表。国際社会に対し、自身と家族を支援するために「声を上げる」よう求めた。ビデオの中で、ボンゴ氏は豪華な家具が置かれた部屋にきちんとした服装をして座っており、不当な扱いを受けた形跡は見られない。英語で穏やかな口調で「現在、自分自身は住居にいる。(自分の身に)何も起きていない。何が起こっているの分からない」とし、「世界中にいる友人たちに、声を上げるようメッセージを送りたい」と述べた。
ビデオの信ぴょう性について、選挙戦でボンゴ大統領と緊密に協力してきたPR会社のBTPアドバイザーズが本物だと確認した。
市民は歓迎、アフリカ連合(AU)や米仏は非難
石油とマンガンの産出国であるガボンを56年間支配してきたボンゴ族の失脚につながる声明が夜間に発表された翌朝、首都リーブルビルでは多くの住民が通りで歓声をあげた。軍幹部は「ガボン国民のため、われわれは現政権に終止符を打つことで平和を守ることを決定した」と述べた。