最新記事

クーデター

アフリカ中西部ガボンでクーデター、軍幹部が選挙に反発 大統領を自宅軟禁

2023年8月31日(木)10時32分
権力を掌握したと発表するガボンの軍幹部

アフリカ中西部ガボンで30日、軍幹部らが権力を掌握したとテレビ放送で表明した。Guardian News / YouTube

アフリカ中西部ガボンで30日、軍幹部によるクーデターが発生した。大統領選でボンゴ大統領が3期目の当選を果たしたと選挙管理当局が発表した後、軍幹部はテレビ放送で権力の掌握を表明、大統領は自宅軟禁状態にあるとした。

軍部は国内の全ての治安・防衛当局を代表しているとし、「深刻な制度的、政治的、経済的、社会的危機に瀕している」とした上で、透明性も信頼性もない選挙結果を取り消し、全面的に国境を閉鎖し、国家機関を解散すると述べた。

軍部はその数時間後に政権移行を指揮する人物を選ぶための会合を開き、元大統領府警備隊長のBrice Oligui Nguema氏を全会一致で選出した。

クーデターが成功すれば、2020年以降、アフリカ中西部では8回目のクーデターとなる。7月にはニジェールで発生したばかり。

64歳のボンゴ大統領は、父親の死去に伴い2009年に就任。父親は1967年からガボンを率いていた。軍部はボンゴ大統領の息子らを汚職と反逆罪の疑いで逮捕した。

自宅軟禁状態にあるボンゴ大統領はビデオを発表。国際社会に対し、自身と家族を支援するために「声を上げる」よう求めた。ビデオの中で、ボンゴ氏は豪華な家具が置かれた部屋にきちんとした服装をして座っており、不当な扱いを受けた形跡は見られない。英語で穏やかな口調で「現在、自分自身は住居にいる。(自分の身に)何も起きていない。何が起こっているの分からない」とし、「世界中にいる友人たちに、声を上げるようメッセージを送りたい」と述べた。

ビデオの信ぴょう性について、選挙戦でボンゴ大統領と緊密に協力してきたPR会社のBTPアドバイザーズが本物だと確認した。

市民は歓迎、アフリカ連合(AU)や米仏は非難

石油とマンガンの産出国であるガボンを56年間支配してきたボンゴ族の失脚につながる声明が夜間に発表された翌朝、首都リーブルビルでは多くの住民が通りで歓声をあげた。軍幹部は「ガボン国民のため、われわれは現政権に終止符を打つことで平和を守ることを決定した」と述べた。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ

ワールド

バイデン・トランプ氏、6月27日にTV討論会で対決

ワールド

ロシア、ウクライナ攻勢強める 北東部と南部で3集落

ワールド

米、台湾総統就任式に元政府高官派遣
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中