プーチンの邪魔になったプリゴジン、自分の「空中分解」死を予見していた?
Video of Prigozhin Predicting 'Plane Will Fall Apart in Midair' Resurfaces
プリゴジンに捧げられた写真とワグネルの旗(左) (8月24日、サンクトペテルブルクのワグネル本部で)REUTERS/Anastasia Barashkova
<墜落事故の直後、プリゴジンのある動画がSNSに流れ始めた。そのなかでプリゴジンは、空から落ちる飛行機について言及していた......>
飛行機事故で劇的な死を遂げたロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、エフゲニー・プリゴジンが生前、飛行機の「空中分解」について語った動画が再浮上して話題になっている。
8月23日、モスクワ北西のトヴェリ州でジェット機が墜落し、搭乗していた10人全員が死亡したと報じられた。搭乗者名簿にプリゴジンの名があり、墜落現場から回収された遺体のDNA鑑定により、死亡が確認された。
この墜落は公式には事故とされているが、ウラジーミル・プーチン大統領の敵や批判者が、疑わしい状況で唐突に死亡する長年のパターンにも合致している。プリゴジンは2023年6月、ロシア軍上層部が無能なせいで自分の戦闘員たちが死んでいると主張した後、部隊と共にモスクワに進軍を開始した。反乱は未遂に終わったが、このときからプリゴジンはプーチンにとって許し難い存在になったと見られている。
ロシア政府は、墜落がプーチンの命令で実行されたとする説を、偽りだとして強く否定している。
空中分解はロシアの運命?
墜落事故の直後、プリゴジンの過去の動画がソーシャルメディア上に流れ始めた。その動画のなかでプリゴジンは、空から落ちる飛行機について言及しており、これはのちの自身の死と不吉に響きあっている。ウクライナのアントン・ゲラシチェンコ内相顧問は、プリゴジンはこの動画で自身の死を予言していると言うが、実際の文脈では、プリゴジンは飛行機事故を、悪化しつつあるウクライナでの戦況の比喩として用いている。
「エルサレム・ポスト」によれば、プリゴジンのこの動画は、ロシアの軍事ブロガー、セミョン・ペゴフによる4月29日のインタビューの一部だという。プリゴジンはこの動画のなかで、戦況の不利を正直に語る者をロシア政府が駆逐しているとして、ロシア軍幹部を非難し、ウクライナでの大失敗を予言している。
プリゴジンはインタビューのなかで、「今日、われわれは我慢の限界に達した」と述べる。「なぜわたしは正直に語っているのか? なぜなら、この国で生きる人々を前にして、わたしには嘘をつく権利などないからだ。人々はいま、嘘をつかれている。(真実を語らせたくないなら)わたしを殺したほうがいい。だが、わたしは嘘をつかない。ロシアは破滅の瀬戸際にある、と正直に言わなければならない。いますぐ手を打たなければ、飛行機は空中分解してしまうだろう」
エルサレム・ポストの伝えるところによれば、テレグラム上で公開されたこのインタビューに対する反応のなかには、墜落事故は目くらましであり、しばらくしたらプリゴジンは戻ってくるだろうと予言したものもある。ただし、それはDNA鑑定で遺体がプリゴジンのものと確認される前のものだ。
(翻訳:ガリレオ)