最新記事
世界が尊敬する日本人100

ショー文化の本場を沸かす「ヨーヨーアーティスト」Naotoが示した夢のかなえ方

2023年8月13日(日)22時15分
トニー・ラズロ(ジャーナリスト)
Naoto

courtesy Naoto

<国内外の大会で50個以上の受賞歴。その成功は、地道な努力と緻密な戦略に裏付けられていた。本誌「世界が尊敬する日本人100」特集より>


【訂正】本記事は8月15/22日号28ページの「ショー文化の本場をヨーヨーで切り開く」(ヨーヨーアーティストのNaotoさん)の転載です。雑誌掲載時の写真は別人でした。確認が不十分であり、おわびいたします。こちらに本人の写真を掲載します。

好きな仕事を見つけるのも、夢を追いかけ続けるのも、容易なことではない。でも、世界を舞台に活躍する「ヨーヨーアーティスト」のNaotoは、好きな仕事をしながら夢を追いかけている1人だ。ヨーヨーと言えば、誰しも幼少時代に遊んだ記憶があるのではないか。Naotoが得意とするのは、ヨーヨー本体とひもが離れる「オフストリング」というスタイルだ。

音楽に合わせて軽快に体を動かし、ヨーヨーを操る。正確性とリズム感が求められる演技は圧巻の一言。おもちゃのヨーヨーも、彼の手にかかればアートに生まれ変わる。

Naotoは高校を卒業後、アルバイト生活を経て、日本唯一のサーカスアーティスト養成所「沢入国際サーカス学校」に入学。パフォーマーとしての技術を本格的に磨き始めた。

2009年と11年に、ワールド・ヨーヨー・コンテストのオフストリング部門で優勝を果たし、国内外の大会で50個以上の受賞歴を誇る世界的パフォーマーへと成長。14年にはドイツへ渡り、ショービジネスが盛んなヨーロッパに挑戦の舞台を移した。

世界一に輝くことが、成功を意味するわけではない。ショービジネスの世界で生きていくためにはカリスマ性やスキル、創造性はもちろん、ビジネスセンスも欠かせない。パフォーマーとしてのキャリアには確かな戦略が不可欠だ。

その点、Naotoは明確なビジョンを持っていた。

筆者は過去2回、ドイツのキャバレーで彼の演技を鑑賞した。キャバレーは20世紀に栄え、今もミュージカルや寸劇を楽しめる場として親子連れの人気も高い。

なるほど。EUの中央に位置するドイツを拠点にすれば、欧州全土で活動がしやすい。キャバレーをはじめショービジネスが根付く文化圏なら活躍の場も幅広く存在する。彼の活躍は、地道な努力と緻密な戦略に裏付けられている。

夢は多種多様で、かなえ方も人それぞれ。世界を舞台に活躍するNaotoは、日本人に一つの解を示してくれている。

Naoto
●ヨーヨーアーティスト

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ戦争「世界的な紛争」に、ロシア反撃の用意

ワールド

トランプ氏メディア企業、暗号資産決済サービス開発を

ワールド

レバノン東部で47人死亡、停戦交渉中もイスラエル軍

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中