最新記事
北朝鮮

夜に黒服サングラス姿でパレードする「謎の集団」...「表に出してはいけない人」をあえて出す、北朝鮮の意図とは?

2023年8月6日(日)09時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
北朝鮮

2023年7月27日 セルゲイ・ショイグ国防相を招いて行われた盛大な軍事パレード KCNA KCNA-REUTERS

<朝鮮戦争休戦協定調印70周年を祝う盛大な軍事パレードに、明らかに他とは異なる集団が隊列を組んで行進。いったい何の集団なのか?>

1953年7月27日の朝鮮戦争休戦協定調印70周年を祝うため、プーチン大統領の書簡をたずさえて3日間の日程で訪朝したセルゲイ・ショイグ国防相。

 
 
 
 

その歓迎も兼ねて行われた盛大な軍事パレードは兵士や民間人だけでなく、多数の戦車や戦闘機、そして大陸間弾道ミサイル(ICBM)の行列が続いた。

沿道には色とりどりの民族衣装を着た女性や学生、子供がリズムにあわせて踊る中、それを誇らしそうに見つめる退役軍人たちの姿も見られた。

何カ月にもわたって練習したと言われる、2時間以上に渡る夜の大パレードにときおり拍手を送ったり、敬礼する金正恩総書記とショイグ国防相だが、眼光鋭く隊列を見つめる姿とともに空気が一瞬張り詰める瞬間があった。

それは夜にもかかわらず、サングラス姿の黒いスーツ姿の奇妙な男たちが隊列を組んで入場してきたときだ。暗闇の中でなぜサングラスをかけているのか?

映像の字幕には「国家保衛省縦隊」と書かれている。「国家保衛省縦隊」とは、国務委員会直属の秘密警察である。主に国内の「危険分子」を監視し、密告する組織であり、通常は「表には出てはいけない人たち」がパレードに堂々と参加していたのだ。

■【写真】サングラス集団「国家保衛省縦隊」

ただし、今回が初めての表舞台ではなく、昨年4月に行われた朝鮮人民軍の創設90周年記念の軍事パレードにも参加している。その時も「異例」であり、社会風俗を乱すような「反社会的な行動」をとらないように国民への「警告」の意味もあるのではないかと言われていた。

今回も「警告」なのか、それともショイグ国防相への「サービス」なのかは真偽不明だ。しかし、表に出すことは何らかのメッセージがあるとみられる。

ちなみに金総書記が乗る車と一緒に走る、スーツ姿のボディーガードも知られているが、彼らは朝鮮人民軍の中のエリート兵士で、朝鮮労働党中央委員会に所属する別の集団である。

■【動画】金正恩が乗るベンツと一緒にジョギングするボディーガードたち

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中