<米議会襲撃>大統領選の結果を覆す陰謀に最高裁判事クラレンス・トーマスの妻が果たした役割
Ginni Thomas Under Scrutiny Following Arrest of Michigan Fake Electors
米下院で「偽の選挙人」問題について宣誓供述を行った極右活動家で最高裁判事の妻ジニー・トーマス(9月29日) Evelyn Hockstein-REUTERS
<米議会襲撃事件の捜査も大詰めを迎え、トランプの起訴も取り沙汰されるなか、大統領選の勝敗を決する各州の選挙人になりすましてバイデン勝利を覆そうという大掛かりな「選挙泥棒」の試みが明らかになってきた。多くの大物の関与も明らかになっている>
ミシガン州の司法当局は7月18日、2020年の米大統領選でジョー・バイデンの勝利を覆すため、偽の選挙人名簿を作成し、連邦議会に送付した罪で、同州の共和党員16人を訴追したと発表した。この発表を受けて、ネット上では米連邦最高裁判所の保守派判事クラレンス・トーマスの妻、「ジニー」ことバージニーア・トーマスの訴追を求める声が高まっている。
ジニー・トーマスは「左派がアメリカを乗っ取る」ことに声高に警鐘を鳴らす極右活動家。ドナルド・トランプ前大統領の首席補佐官を務めたマーク・メドウズに宛てたテキストメッセージで、バイデンの勝利を「アメリカ史上最大の選挙泥棒」と呼び、選挙結果を覆す試みに手を貸すよう盛んに働きかけるなど、2021年1月6日に起きた連邦議会襲撃への関与も疑われている。
アリゾナ州の共和党員に偽の選挙人名簿を作成するよう働きかけた疑いも持たれている。州の選挙管理当局職員と州議会議員数十人に宛てたメールで、2020年の大統領選のアリゾナ州における勝者はトランプであると進んで宣言する「清く正しい選挙人の名簿」を作成することが「憲法上の義務」であると主張。「政治やメディアの圧力に屈せず、毅然として」信念を貫くよう呼びかけ、選挙人選びは「あなた方に、そしてあなた方だけに」与えられた責務である、などと同州の有権者の意思を無視する身勝手な理屈を述べ立てた。
「まんまと訴追を逃れた」
アリゾナ州に割り当てられた選挙人は11人。同州の本選ではバイデンが勝ったため、その11票はバイデンが獲得した。だがジニーの呼びかけが奏功したのか、同州共和党議長のケリー・ワードをはじめ共和党員11人は、連邦議会での正式承認を年明けに控えた2020年12月14日に密かに集まり、偽造の選挙人名簿を作成した疑いが持たれている。
(注)アメリカの大統領選では各州に割り当てられた選挙人を奪い合う方式。被告らは偽の選挙人になりすまし、バイデン勝利を覆そうとした疑い。トランプ陣営も深く関わっていたとされる。トランプ本人はまだ訴追されていないが、連邦検察は捜査を続けている。
ミシガン州と違ってまだ訴追には至っていないが、アリゾナ州のクリス・メイズ司法長官も共和党員による選挙人名簿の偽造疑惑について捜査を命じたと、ワシントン・ポストとNBCニュースが報じている。
今のところアリゾナ州当局の捜査ではジニーは取調べを受けていないようだが、本誌はソーシャルメディアを通じて本人に確認中だ。
連邦議会襲撃に関与した疑惑については、ネット上ではジニーは「まんまと訴追を逃れた」などと言われている。この事件の調査を行なった米下院特別委員会は昨年12月に発表した最終報告書で、「暴動の扇動・幇助」など4つの罪でトランプを刑事訴追するよう司法省に勧告したが、ジニーが果たした役割には触れなかった。彼女は同委員会の証人喚問でメドウズ宛のテキストメッセージついて聞かれ、「今となっては、できることなら全て取り消したい」と述べたと伝えられる。
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