最新記事
兵器

「これが現代の戦争だ」 数千ドルのドローンが、ロシア「最新型」戦車を破壊する映像...ウクライナが公開

Video Shows 'Newest' Russian T-90 Tank Hammered in 'Rarog' Unit Strike

2023年7月16日(日)13時10分
エリー・クック
破壊されたロシアT-90M戦車

ウクライナ東部ハルキウ州で破壊されたロシア軍のT-90M戦車(2022年5月) Vitalii Hnidyi-REUTERS

<ウクライナが、安価なドローンの攻撃でロシア最新戦車を破壊したと動画付きで発表。戦場におけるドローンの重要性は高まり続けている>

ウクライナ政府は、ウクライナ軍のドローンがロシア軍の最新戦車T-90を攻撃し、さらにロシア軍による戦車の回収も阻止したと発表した。このときの模様としてウクライナ側はドローンがT-90戦車を攻撃する瞬間の映像を公開しており、安価なドローンが大きな戦果を上げていることについて「これが現代の戦争の形だ」とコメントしている。

■【動画】ウクライナによるドローン攻撃により、ロシアT-90戦車が爆撃を受ける瞬間の映像

ウクライナ国防省は7月12日、ソーシャルメディアへの投稿の中で、「第24機械化旅団の『ラログ』攻撃用ドローン中隊がロシア軍の最新型戦車『T-90』に打撃をもたらし、またさらなる攻撃によって同戦車の退避を阻止した」と述べた。ラログとは、スラブ神話に登場する火の悪魔の名前だ。

この説明と共に投稿されたドローン撮影の動画には、ロシア軍のT-90戦車が映っており(場所の詳細は不明)、その後に無人航空機(UAV)がこの戦車を攻撃する様子が映っている。その後、2機目のドローンが、1回目の攻撃で損傷を受けた戦車のすぐ近くを攻撃している。

ウクライナ国防省はツイッターに、「値段にして数千ドル相当のドローン2機で、300万ドル相当の戦車を破壊した」と投稿した。

ロシアは「画期的」T-90M戦車25台も失った

T-90戦車には幾つものモデルがあり、その値段を断言するのは難しい。最も高額なものは、1台あたり約450万ドルもするとされている。ウクライナ側は過去に、ウクライナ軍の兵士らがT-90戦車を狙って攻撃する様子を捉えた動画を公開している。T-90は、ロシアのその前の主力戦車であるT-72の改良版だ。

検証可能な写真や動画を元にウクライナ軍とロシア軍の装備の損失を記録しているオランダの軍事ブログ「Oryx」によれば、ロシアは2022年2月の侵攻開始以降、T-90A戦車を35台、T-90AK戦車を1台、T-90S戦車を7台失っている。またこれに加え、「画期的な」戦車だと称するT-90M戦車25台も失っているという。

だがロシア軍の損失に関するこの推定は控えめな数字だと考えられており、実際にはもっと大きな損失が出ている可能性が高い。

「現代の戦争とはこういうものだ」と、ウクライナ国防省は12日に述べている。今回の戦争では、ロシア側にとってもウクライナ側にとっても、ドローンが戦闘で重要な役割を果たしている。ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問は2月に本誌に対して、ドローンは「今回の戦いにおいて、まさにスーパー兵器だ」と語っていた。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中