ワグネル創設者プリゴジンはなぜ今もロシアで自由の身なのか?
Why Prigozhin Is Still a Free Man
ウクライナ政府当局は、反乱の失敗を理由にロシア政府はプリゴジンを暗殺するつもりでいる、と発言している。
ウクライナの国防情報部長キリロ・ブダノフ少将によれば、ウクライナ政府は、プリゴジンの反乱計画とロシアの諜報機関連邦保安庁(FSB)が進めているプリゴジン暗殺計画の両方を知っていたという。
ルカシェンコは6日、ウクライナの主張を一蹴し、自分もプーチン大統領もプリゴジンの暗殺を望んでいないと述べた。ISWによれば、ルカシェンコは、プーチンが将来的にプリゴジンを殺そうとするかもしれないという臆測を退けた。
「ロシア政府当局が、武装反乱を起こした人物のことを、本気で気にしていないとしたら素晴らしいことだ」と、ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問はツイートした。「では、プリゴジンはいったいどこにいるのか?金と武器とワグネルの傭兵と一緒に?」
ISWは6月27日の報告で、プーチンは「プリゴジンを直接的に排除すると、プリゴジンがウクライナ侵攻におけるロシア国防省の不手際の犠牲になったように見えてしまうと判断したのだろう」と分析した。
ロシアの元実業家、政治活動家で現在はイギリスで亡命生活を送っているミハイル・ホドルコフスキーは、本誌に対し、プーチンはこの問題で「窮地に陥っている」可能性が高いと語った。
厳しい処置は反発を招く
プーチンは、プリゴジンとその戦闘員たちに武力で報復するリスクを冒さないことに決めた。なぜなら、ワグネルの戦闘員が、プーチンとプーチン政権に武器を向ける可能性があるからだ。
「プーチンが反乱を起こした人物を処罰しないのであれば、プリゴジンのようなタイプの反乱が再び起こる可能性が高くなる」と、エネルギー会社ユコスの社長だったホドルコフスキーは言う。彼は2003年に脱税などの罪で逮捕・起訴され、13年まで禁固刑に服していたが、その原因はプーチン批判という政治的なものだったと反プーチン派は主張している。
「人々に罰を与え始めたら、現役のロシア軍の半数がプリゴジンに味方していることが明るみに出かねない。そうなると、処罰によってより大きな反乱と生んでしまうことになる」と、彼は付け加えた。