少年を射殺した警官に「2億3000万円超」の寄付が集まる...遺族も困惑する「フランスの分断」とは?
2023年7月10日(月)13時13分
警官とデモ参加者(6月30日、パリ) JUAN MEDINAーREUTERS
<極右の政治評論家の呼びかけで警察官への寄付が殺到。この事件に便乗する暴徒たちに収集つかなくなっている>
フランスで17歳の北アフリカ系少年が検問中の警察官に射殺され、各地で抗議デモが暴動に発展するなか、「射殺した警察官」支援のために高額な寄付が集まっている。
クラウドファンディングサイトを通じた寄付金は150万ユーロを超え、少年の遺族を支援する寄付金の4倍近くに上る。
警官は6月末に殺人罪で起訴されたが、極右の政治評論家ジャン・メシアらの呼びかけで支援が殺到。
メシアは寄付サイトで、「自らの職務を果たし、高い代償を払うことになったこの警官の家族のために」と寄付を募っている。
一部の政治家はこの動きを非難。欧州議会議員で左派政党所属のマノン・オブリは、「アラブ系の若者を殺すと儲かる、というメッセージになりかねない」とツイートした。
各地の暴動では数千人が逮捕される一方、暴動に対する平和的な抗議デモも発生。少年の遺族は、暴徒たちが事件を「口実」にしていると非難する。分断は広がる一方だ。