ブリンケン訪中で「格下」扱いされたアメリカ、それでも中国に低姿勢を貫くのはなぜ?【注目ニュースを動画で解説】
Newsweek Japan-YouTube
<危険レベルまで緊張が高まっている米中関係。6月に訪中したブリンケン国務長官の成果と中国の反応、今後の見通しについて考察したアニメーション動画の内容を一部紹介する>
6月の訪中で露骨に冷遇されたアメリカだが、それでもバイデン政権には得たものがあったという。異様なまでの「外交非礼」を受けながらもアメリカが低姿勢を貫くのにはどんな理由があるのか──。
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「【米中関係】露骨に「格下」扱いされたアメリカが中国相手に低姿勢を貫く理由(アニメで解説)」の内容をダイジェスト的に紹介する。
バイデン政権の閣僚として初めて中国を訪問したブリンケン国務長官だったが、北京国際空港で出迎えたのは少数の役人とニコラス・バーンズ駐中国アメリカ大使だけ。レッドカーペットすら用意されておらず、ネット上では、4月に訪中して盛大に歓迎されたフランスのマクロン大統領の時と大違いだという声も上がった。
ブリンケンは2日間で秦剛(チン・カン)外相との密室協議、今も中国の外交政策を統括する王毅(ワン・イー)前外相との会談、そして習近平(シー・チンピン)国家主席との短時間の面会をこなした。しかし、この訪中は米中対立緩和の一歩とは言い難いものだった。
軍事面で台湾への支援を拡大し、経済面で中国への締め付けを強化してきたバイデン政権のこれまでの対中政策を見れば、この結果も当然。対中圧力を高めつつ、緊張緩和を目指す外交戦略は明らかに矛盾している。
この矛盾が物語っているのはバイデン大統領のジレンマだ。政界の対中強硬派はエンジン全開で中国脅威論を唱えており、彼らの存在を無視するわけにはいかない。かといって強硬路線一辺倒で進むのはあまりに危険だ。
バイデンが米中間の「責任ある競争管理」を掲げるのは、気候変動対策で協力したり、アメリカ企業を米中競争のとばっちりから守る必要もあるから。バイデンの対中政策を支持する有力議員らは、今回の訪中を緊張緩和に向けた重要な一歩と評価している。
実際、ブリンケンはわずかだが具体的な成果を持ち帰った。違法ドラッグの流入を防ぐための米中合同の作業部会を設置すること、人的つながりや学術交流の拡大、米中間の直行便の増便などだ。
しかし、中国在住アメリカ人の恣意的な拘束など最も重要な問題に関しては、目に見える進展はなかった。
それ以上に問題なのは、軍同士の対話チャンネルの再開が実現しなかったことだ。米中激突のリスクがますます現実味を帯びている現在、偶発的な衝突が全面対決にエスカレートするのを防ぐために、このホットラインの存在は不可欠だ。
この提案を中国ははねつけた。
アメリカ側が対話再開を求めているのは、それだけ両国間の緊張が高まっているから。今回のブリンケン訪中が外交上意義を持つかを占う重要な指標は、中国がアメリカと高官レベルの協議を続けるかどうかだ。
米政府は、11月にサンフランシスコで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)サミットへの習の参加を実現させたいと考えている。
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