プリゴジンの反乱でロシア人は1000億ルーブルを銀行から引き出した
Russians Scrambled for Cash Amid Fears of Putin's Ousting
プリゴジンの武装反乱の前後3日で、ロシア人は1000億ルーブルを銀行から引き出した(写真は2017年)Tramp57-shutterstock
<ロシアのウクライナ侵攻以降、取り付け騒ぎが繰り返し起きているロシアだが、武装反乱でプーチンの座が危ないと思った預金者の反応は特別に大きかった>
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ロシア連邦中央銀行が発表した数字によれば、民間軍事会社ワグネルが6月に武装反乱を起こした前後のわずか数日で、ロシア国民は、銀行から1000億ルーブル(約11億ドル、約1525億円)を引き出したようだ。
モスクワ・タイムズは、ロシア連邦中央銀行が7月12日に発表した月例金融政策報告書の内容として、6月23日〜25日に、ロシアの銀行から1000億ルーブルが引き出されたと報じている。これは、ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンが反乱を起こした期間と大まかに重なる。
プリゴジンは6月23日、ロシア軍がミサイル攻撃でワグネルの兵士約30人を殺害したと主張し、自身の兵士に首都モスクワへの進軍を命じたが、翌24日、反乱は終結した。ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が和平を仲介したと言われる。
迅速な解決にもかかわらず、この一件は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の権力に対する最も重大な挑戦だと見る向きもある。
ロシア経済誌RBCは、ワグネルの反乱中に起きた預金引き出しは、ロシアが2022年9月にウクライナ戦争への部分動員を発表して以来、「現金需要の最も顕著な急増」だったと報じている。
ルーブルは15カ月ぶりの安値
ロシア連邦中央銀行は、6月の1カ月間で5000億ルーブル(約55億ドル、約7625億円)が国内の銀行から引き出され、そのうちの5分の1が、ワグネルの反乱が起きた23〜25日に引き出されたと報告している。
ロシア連邦中央銀行は、このような現金流通量の増加が金融政策に影響を与えることはないと述べた、とRBCは伝えている。
反乱が早期に収束したにもかかわらず、多くのエコノミストは、ルーブルが7月6日に1ドル=93ルーブルという15カ月ぶりの安値を付けたのは少なくとも部分的にはワグネルのせいだとしている。
2022年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始して以来、ルーブルの価値は下落傾向だった。ロシア連邦議会のアナトリー・アクサコフ下院議員は7月6日、ここへきてのルーブルの急落は、2022年秋にロシアが違法に併合したウクライナ4州への資金供給が一因だという見解を示した。