潜水艇「タイタン」の残骸引き揚げ、「人の一部らしきもの」を回収
Officials recover "presumed human remains" from Titan sub wreckage
深海の水圧で圧壊した潜水艇タイタン(日付不明) OceanGate Expeditions/REUTERS
<5人の乗員全員が絶望的となった潜水艇圧壊の原因を探るための残骸が、深海から引き揚げられた>
米沿岸警備隊は6月28日、大西洋に沈む豪華客船タイタニック号の見学ツアー中に圧壊した潜水艇「タイタン」の残骸引き揚げ作業で、複数の証拠を回収したと発表した。
証拠には潜水艇の破片や「人間の遺体とみられるもの」が含まれ、今後これらの証拠について米海事調査委員会が分析を行う。沿岸警備隊によれば、タイタンの残骸は28日にカナダ東部ニューファンドランド島セントジョンズの港に引き揚げられ、今後アメリカに移送されて、詳しい調査が行われる。残骸と一緒に発見された「人間の遺体とみられるもの」についても、アメリカの医療専門家が「正式な分析を実施」する。
海事調査委員会のトップを務めるジェイソン・ノイバウアー大尉は、沿岸警備隊が発表した声明の中で、「(今回発見された)証拠は、この悲劇の原因を突き止める上で、きわめて重要な情報となるだろう」と述べた。「タイタンの事故につながった原因を理解し、二度とこのような悲劇が起きないようにするために、まだやらなければならないことは沢山ある」
遠隔操作の探査機で捜索
タイタンは残骸が発見される10日前の6月18日に、タイタニック号を見るために海底に潜った際に圧壊したとみられている。AP通信によれば、タイタンの残骸は水深およそ3800メートルの海底に沈んだタイタニック号の船首から約490メートル離れた場所で見つかった。
米オーシャンゲート社が所有・運営するタイタンには、イギリス人冒険家のヘイミッシュ・ハーディング、パキスタン富豪一家の出身でイギリス人実業家のシャザダ・ダウッドと息子のスレマン、フランス人探検家のポール・アンリ・ナルジョレとオーシャンゲートのストックトン・ラッシュ最高経営責任者の5人が乗っており、5人とも死亡したとみられている。タイタン圧壊の原因は、いまだ明らかになっていない。
28日にセントジョンズ港にタイタンの残骸が引き揚げられると、大きく破損した破片の写真がインターネット上に出回った。AP通信によれば、残骸の捜索は米ペラジック・リサーチ・サービシズ社が所有する遠隔操作の探査機によって行われた。同社は28日に、探査機の乗組員らが「沖合での作業」を終了したと声明を出している。
ペラジック・リサーチ・サービシズは声明の中で、「乗組員らは肉体的にも精神的にも過酷な状況の中、遺体を遺族の元に帰すため、10日間休むことなく作業を行ってきた」と述べた。
AP通信が28日、タイタンの圧壊について捜査を主導している米沿岸警備隊の代表にコメントを求めたが、返答はなかった。タイタンの残骸についての最新情報は、米海事調査委員会のウェブサイトで確認することができる。
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