「プリゴジンの乱」収束...元ロシア軍司令官はどう見ていた?
国防省とショイグを激しく糾弾するプリゴジン(6月23日の動画) PRIGOZHIN PRESS SERVICE
<元ロシア軍司令官のイーゴリ・ギルキンはテレグラムの投稿で見解を示していた>
6月23日、ウクライナで戦闘に従事してきたロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジンが、ロシア国防省への戦いを宣言した。ワグネル部隊の宿営地に、ロシア軍がミサイルを撃ち込んだというのである。
「われわれには2万5000の戦闘員がいる。ロシアがここまで大混乱に陥った理由をはっきりさせる」と、プリゴジンはメッセージアプリ「テレグラム」に投稿した動画で述べた。「われわれに加わりたい人間は、誰でも歓迎する」
プリゴジンはこれまでも、国防省幹部を厳しく批判し、しばしば不満をぶちまけてきた。その最大の標的になってきたのがショイグ国防相だ。22日には、戦場におけるロシアの「途方もない」失敗について、ショイグがプーチン大統領に嘘の情報を伝えていると非難したばかりだ。
こうした緊張関係を背景に、23日にロシア軍がワグネル部隊を攻撃したと、プリゴジンは主張している。
「ワグネル指導部は決定を下した。この国の軍指導部がもたらしている悪に、終止符を打たなくてはならない」と、プリゴジン。「今日、われわれの戦闘員を殺害し、さらには何万人ものロシア兵の命を奪ってきた連中に罰を与える必要がある」
プリゴジンは、国防省との戦いが決着した後にはウクライナでの戦闘を再開するとも約束した。
一方、ロシア国防省は、ロシア軍がワグネルを攻撃したとの指摘を否定する声明を発表。ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチンもプリゴジンの発言を把握していると述べ、「あらゆる必要な措置を講じている」とコメントしている。ロシア当局は、武装反乱を扇動した容疑でプリゴジンへの捜査を開始したと発表した。
ここしばらく、国防省とショイグに対するプリゴジンの批判は激しさを増す一方だった。23日の動画では、こんなことも述べている。昨年2月24日にロシア軍がウクライナへの侵攻を開始する直前の時点で「特別なことは何も起きていなかった」というのだ。
「国防省は国民と大統領を欺いて情報操作を行い、(侵攻当時に)ウクライナ側が常軌を逸した水準の攻撃性を示していて、NATO全体と一緒になってわが国を攻撃しようとしていたと信じ込ませようとしている」と、この軍人ではないビジネスマンは主張している。「実際には、特別軍事作戦は全く別の理由で開始されたのだ」