コロナ禍明けて明暗分かれた韓国企業 デリバリーのベミン、ホンダコリア、大韓航空
韓国のデリバリー業界で圧倒的な人気を誇るホンダコリアのスクーターPCX
<とかくスピードの早い韓国で成長が続けられるのはかくも難しいのか>
韓国企業各社の2022年の営業実績が明らかになった。コロナ・パンデミックで多くの企業が売上げを落とし、破綻した企業や韓国から撤退した外国企業も少なくないなか、反対にパンデミックによる特需の恩恵を享受した企業もある。
デリバリー代行業界のトップ企業「配達の民族(ベダリィミンジョク=略称ベミン)」は、2兆4049億ウォンの売上を記録した。コロナ禍前の2019年は5654億ウォンだった。
そしてこのベミンの好業績に日本製品不買運動がひと役買っている。19年8月以降、不買運動が拡大すると、日本料理店に出入りする姿を周りに見られたくない人たちがデリバリーを利用。そのため配達の民族は配達員を増強した。
翌2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大して韓国政府が飲食店の営業時間や利用人数を制限するとデリバリー代行を導入する飲食店が急増したが、不買運動の最中に配達員を増強していた配達の民族は受注増に対応できたためライバルを引き離した。
急激に売上を伸長したベミンだが、このところ大きな課題に直面している。急激な需要増で配達員の獲得競争が激化した結果、配達員への報酬が上がっているのだ。コロナ対策のさまざまな規制が解除されデリバリー市場が縮小するとみられるいま、売上減と人件費高騰の板挟みにあっている。
デリバリー増加の恩恵は日本企業にも
ホンダコリアもコロナによるデリバリー利用増加の恩恵を享受した。デリバリー代行会社に登録して自前のバイクを用意する配達員が相次いでホンダを購入したのだ。
日本製品不買運動の影響を受けた2020年、同社の売上は前年比23%減の3632億1623万ウォンに落ち、営業利益は前年比90.1%まで激減した。撤退の噂が流れたが、コロナの感染拡散でデリバリー需要が増えると125ccのスクーターPCXとスーパーカブを買う人が急増。輸入が追いつかないスーパーカブは中古価格が新車価格を上回るほどだった。
PCXとスーパーカブの販売を強化したホンダコリアは2022年、3887億1079万ウォンを売り上げた。二輪車は乗用車より安いことから売上は2019年の4673億6360億ウォンを下回ったが、営業利益は17.1倍の338億ウォンで韓国進出以来最高益を記録した。
自前バイクを持ち込んだ配達員らはコロナが収束して日常生活に戻るとバイクは不要になる。登録後2年から3年経ったホンダの中古バイクは相応の値段で売れるが、DNAモータースなど韓国メーカーのバイクは値がつかない。
廃車まで乗り続ける人は値段が安いDNAを買い、中古で売る可能性が高い人たちはホンダを選んだ。コロナ禍中、韓国内で新車登録されたバイクの3台に1台がホンダだった。
バイクの販売で利益を得たホンダは、乗用車のオンライン販売システムを導入した。オフライン販売はディーラーによって販売条件が異なるが、オンライン販売はすべての購入者に同じサービスを提供できる。
ホンダコリアは2023年、新型アコードや新型CR-Vなど5車種の新車を発売し、大型バイクや電動バイク、さらにはビジネスジェットも投入する計画だ。