最新記事
ロシア

「国民に怯えすぎ!」 演説するプーチン大統領、聴衆との間の「異常な距離」が話題に

'Paranoid' Putin Mocked for Maintaining Far Distance From Audience

2023年6月17日(土)12時40分
ジョン・ジャクソン
演説をするロシアのプーチン大統領

Pavel Bednyakov/Host photo agency RIA Novosti via REUTERS

<プーチンの演説を聞く聴衆が取らされた不自然なほどの「ディスタンス」はコロナ予防のため? 影武者だとバレないため?>

ウクライナで苦戦を強いられ、国内で支持と求心力を失いつつあるとも言われるロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、いよいよ他人を信用できず「怯える」ようになったのか──。6月12日にプーチンが行った演説の様子を見た人々の間では、誰も自分のそばには近寄らせたくないという大統領の心理が表れたような、「聴衆との異常な距離感」が大きな話題となった。

■【動画】なぜこんなに遠い? ロシアウォッチャーの間で話題になった、プーチンと聴衆の距離

ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問は、「ロシアの日」であるこの日の演説に臨むプーチンの動画をTwitterに投稿し、「小さな男が、国民を恐れながら(彼と聴衆との距離に注目)、途方もない犯罪を実行している」と述べた。

クレムリンで行われた式典でプーチンは、聴衆から不自然なほど離れた場所で演説を行った。この演説でプーチンは、最近のウクライナの反転攻勢には言及しなかったものの、自らが「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナとの戦いに参加している兵士を支援するため、ロシアへの思いによって「社会を一層強く結束させる」よう国民に呼びかけた。

スウェーデンのニュースサイト「へーラ・ヒッシンゲン」の発行人であるマルクス・ハンキンスは、「プーチンが聴衆に対して取っているディスタンスを見てほしい」とTwitterに投稿。「パラノイア(不安や恐怖によって抱く被害妄想など)がすぎるのでは?」と指摘した。

プーチンの厳格なコロナ感染対策

聴衆がプーチンの演壇からこれほど遠く離された実際の理由は分からない。可能性の1つは、大統領が新型コロナウイルスへの感染を恐れているということだろう。たしかにプーチンは近年、クレムリンでの各国指導者との会談の際、長いテーブルの両端に座ることが多いようだ。

また最近、クレムリンの元警護官が、プーチンは「自己隔離」の状態だと明かしている。ロンドンに拠点を置き、調査報道を手がける「ドシエセンター」が4月に公開したインタビューで、ロシア連邦警護庁(FSO)の元警護官のゲレブ・カラクーロフは、次のように語っている。

「(クレムリンの職員は)行事の前にはいつも2週間の隔離生活を送らなくてはならない。たとえその行事がたった15分か20分であってもだ。2週間の隔離を済ませ、条件を満たした要員が常にプールされている。彼らは『クリーン』だとして、プーチンと同じ部屋で職務を行うことが許された」

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中