最新記事
2024米大統領選

「世界を変える」2024年米大統領選...勝者は誰か?

THE WINNER OF 2024

2023年6月9日(金)14時30分
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)

ただし、ダイモンが勝利する確率は、共和党の予備選で誰かが抜群のパフォーマンスを見せ、トランプに打ち勝つ確率よりも低いだろう。

一方、ペンスの立候補は本質的に無意味だ。21年1月6日の連邦議会襲撃の際、ペンスが憲法に従って行動し、アメリカが騒乱に陥るのを防いだのは事実だが、トランプ主義者の牛耳る共和党に彼の未来はない。

アフリカ系のスコットはどうか。現時点で共和党の指名を獲得する可能性は3.5%とされるが、既に驚くほど多くの共和党重鎮や巨額献金者の支持を獲得している。

「被害者意識ではなく勝利を」という彼のキャッチフレーズは、いまだに前回選挙での敗北を認めないトランプに対する暗黙の攻撃だが、それは一方で、民主党に蔓延していると多くの共和党員が考える「ウォークネス(社会正義への意識の高さ)」への痛烈な批判にもなっている。

民主党内の選挙通に、一般投票で対決した場合に最も怖い相手は誰かというアンケートを取ったところ、大多数が名を挙げたのはスコットだった。スコットが本選に出てくれば、バイデンに勝ち目はない。今のところ基本的に民主党の幹部だけが信じている展開だが、もしもスコットが上手に選挙活動を進め、トランプとデサンティスが途中で失速すれば、スコットの指名獲得もあり得る。

かつてのバラク・オバマは、大統領選のこの段階でもスコットより知名度が高かった。それでも指名獲得は無理だと思われていた。ただしスコットにはオバマほどのカリスマ性がない。だからオバマのように人気が爆発する可能性は低い。

そうなると、バイデンが負ける可能性が最も高いのは、やはりデサンティスだ。本選のカギを握るフロリダ州で強く(州知事選では19ポイント超の大差を付けて勝利した)、44歳とまだ若いし、配偶者の印象もミシェル・オバマと同じくらいにいい。しかも反トランプを鮮明にしている。

「右旋回」の大きすぎる副作用

ただし、デサンティスがトランプを引きずり下ろすには一つの失敗も許されない。なにしろ彼には、退屈でエリート臭が強すぎるという批判が既に出ている。

トランプはかつて、デサンティスの盟友で後援者でもあった。だからトランプは、自分に「カウンターパンチ」を浴びせようとしているデサンティスを許せない。腹心のスティーブン・チョンも、デサンティスの出馬表明演説を「自分たちの言いなりになる繰り人形を探しているトランプ嫌いのエリート層」に取り入るための作文とこき下ろした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:欧州移住に関心強める米国人、「トランプ氏

ビジネス

米中、貿易問題巡る初日協議終了 11日に再開

ワールド

インドとパキスタン、即時の完全停戦で合意 米などが

ワールド

ウクライナと欧州、12日から30日の対ロ停戦で合意
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中