「世界を変える」2024年米大統領選...勝者は誰か?
THE WINNER OF 2024
そこには、バイデンがアメリカ男性の平均寿命を上回る高齢である事実が反映されている。6月1日、バイデンが空軍士官学校の卒業式の壇上で転倒すると、その動画を共和党陣営は攻撃材料として拡散させた。ロシアのサイバー戦部隊が手を貸した形跡もある。バイデン勝利の確率が下がってもおかしくない。
中ロはバイデン再選を望まず
一方でバイデンは、外交面で巧妙に立ち回っている。第2次大戦後初めて自国の領土を攻撃されたロシアでは、ウラジーミル・プーチン大統領の政権が存続の危機に立たされている。ロシア国家自体の存続も、トランプが大統領に返り咲くか否かに懸かっているかもしれない。
20年の大統領選に際し、ロシアの陰湿な介入が結果を左右する可能性はあるかと問われたとき、筆者は、トランプ嫌いの中国も動いているからロシアの影響力は相殺されるだろうと楽観的な見通しを示した。
しかし今は、中国から見るとバイデンのほうがトランプより嫌な相手であることが明らかになった。ウクライナでロシアが苦戦を強いられているのも、最大の友好国たる中国にとっては都合が悪い。こうなるとロシアと中国の思惑は一致する。だから前回に比べて、今度の大統領選では外国からの介入が大きな脅威となる可能性を否定できない。
一方で、そんな脅威の存在こそバイデンが次期大統領の「最有力候補」と呼ばれるにふさわしい証拠だとも言える。中国もロシアもバイデンの続投を望んでいないとすれば、それは現在のアメリカが彼らにとって最大の脅威となっているからだ。
現時点の世論調査で、アメリカは正しい方向に進んでいると考える国民は22%しかいない。だがアメリカにとっての二大敵国がバイデンに不利な動きを起こそうとしている事実を知れば、さすがの国民も自国の強さへの否定的な見方を改めるだろう。
歴史的に見ても、現職大統領が敗北した例はめったにない。現職が負けるのは、たいてい1期目で「弱い指導者」のレッテルを貼られた場合だ。また与党支持者の投票率が前回に比べて大幅に下がってしまうと、後継候補は勝てない(アル・ゴア元副大統領やヒラリー・クリントン元国務長官がそうだった)。
トランプが望むのは、共和党の予備選に名乗りを上げる候補者が増え続けることだ。そうなれば党内の反トランプ票が分散することになる。共和党の支持層には、たとえトランプ自身が20年の選挙結果を盗もうとした事実やプーチンとの共謀を認めたとしても、絶対に彼を見捨てない有権者がいる。数は多くないが、無視できるほど少なくはない。
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