候補者乱立する米共和党、大統領予備選はトランプに有利へ?
現時点での指名レースは、事実上の一騎打ちになっている。
共和党予備選に投票資格のある有権者の間では、トランプ氏の支持率が49%と圧倒的で、これを19%のデサンティス氏が追う形。
残りの候補はいずれも大きく水を開けられており、直近のロイター/イプソス調査でペンス氏は5%、前サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー氏が4%にとどまった。
クリスティー氏とティム・スコット上院議員はともに1%、4月に出馬宣言した前アーカンソー州知事のエイサ・ハッチンソン氏に至っては0%だ。
低支持率候補の思惑
気軽な立場の傍観者からすると、なぜこんな低支持率の面々が、既に大きくリードしている有力候補に挑もうとするのかと疑問に思うかもしれない。
共和党全国委員会メンバーのオスカー・ブロック氏は「大半の参戦者は指名獲得のチャンスがあると本当に思っているからだ」と説明した。
これに対して、同党ストラテジストのジョン・フィーヘリー氏は、一部の人は勝つのは不可能だと分かっているが、新政権の閣僚に起用されるのを目指したり、最終的な副大統領候補に指名されたいとの思惑を持っていたり、あるいは単に本の出版契約を取るために有名になりたかったりという動機があるのではないか、と推測する。
フィーヘリー氏によると、もちろんこれまで無名候補が指名を獲得した事例もある。1976年の民主党候補になったジミー・カーター氏だけでなく、トランプ氏にしても15年6月に出馬を表明した際の支持率は、4%に過ぎなかった。
さらにフィーヘリー氏は、今回の参戦組の多くは、トランプ氏とデサンティス氏という先頭ランナー2人に付け入る隙がある、と考えたから出馬を決めたのではないかとの見方を示した。
トランプ氏は、既に不倫相手とされる女性への口止め料支払いに関する不正疑惑で訴追された上に、今後、機密書類持ち出しや20年の大統領選結果を覆そうとしたという問題でも訴追される恐れがある。
デサンティス氏の場合、世論調査で支持率が低下しつつあり、改めて足場を固める作業に追われているところだ。
これまでトランプ氏から一方的に攻撃されてきたデサンティス氏だが、恐らくは候補指名レースの参戦者が間もなく一気に多くなるのを見据えて、先週、ついにトランプ氏批判を開始している。
(Tim Reid記者)