タイタニック潜水艇タイタンは前にも「行方不明」になっていた
Revelation Titanic Sub Previously Went Missing Raises Questions
オーシャンゲート社が運営するタイタニック号観光ツアー中の潜水艇タイタン OceanGate Expeditions/REUTERS
<深海のタイタニック観光ツアーを体験したCBS記者も安全性に問題があることに気づいていたが、対策は取られなかった>
大西洋の海底に眠る豪華客船タイタニック号の見学ツアーで消息を絶った潜水艇タイタンは、以前にも海上と連絡が取れなくなり、位置を確認できなくなったことがあった。昨年ツアーを体験したテレビの記者がこの問題を報告していたにもかかわらず、当時はほとんど注目されず、重大事故を招く結果となった。ソーシャルメディア上では、運航会社とメディアの責任を問う激しい批判の声が上がっている。
タイタンは今月18日朝に通信が途絶え、位置を確認できなくなって4日経つ。懸命な捜索が続いているが、酸素は通常4日分しか搭載していない。
デービッド・ポーグ記者は昨年夏、CBSの番組のレポーターとして、深海探検専門のツアー会社、オーシャンゲートが所有し、運航するこの潜水艇に乗り込み、タイタニック号の残骸が眠る海底への潜航を体験した。
タイタンに乗り込んだポーグは潜水艇の頑丈さに疑問を持ち、その辺にある物で間に合わせる「急ごしらえの脆弱さ」があるのではないかとオーシャンゲートのCEOであるストックトン・ラッシュに問いただしたが、ラッシュはそれを真っ向から否定した。
記者の警告は生かされず
ポーグはまた、乗客から聞いた話として、以前のツアーで通信が途絶え、2時間半にわたって海上と連絡が取れなくなったという体験談を伝えた。
ポーグが体験した時と同様、今回のツアーでも、タイタンを搭載した母船は、カナダ・ニューファウンドランド島から出航。米マサチューセッツ州ケープコッドから約1450キロの沖合で、タイタンを海中に投入した。だが今回は、海底まで半ばほど潜航した時点で通信が途絶え、母船はタイタンの位置を確認できなくなった。
タイタンには、乗員乗客5人が乗り込んでいる。乗員はオーシャンゲートのラッシュCEO、フランス人操縦士のポール=アンリ・ナルジョレ、乗客はイギリスの億万長者で探検家のハミッシュ・ハーディング、パキスタンの実業家シャーザダ・ダウードとその息子のスールマンだ。
この5人の救出のタイムリミットが刻々と迫るなか、昨年11月に放映されたポーグ記者の体験レボートがなぜ事故防止に生かされなかったのか、ソーシャルメディア上で疑問の声が上がっている。