最新記事
潜水艇

タイタニック潜水艇タイタンは前にも「行方不明」になっていた

Revelation Titanic Sub Previously Went Missing Raises Questions

2023年6月22日(木)15時30分
ジュリア・カーボナロ

「昨年夏の私の取材中にも、潜水艇は約5時間にわたって消息を絶ち、(緊急時に位置情報を発信する)ビーコンを搭載すべきだという話が出た」と、ポーグは6月19日にツイートした。

別のツイートでは、もう少し詳しく説明した。「その日は私は潜水艇ではなく海上の母船の司令室にいた。母船から潜水艇に短いテキストを送ることはできたが、潜水艇の位置は確認できなかった。司令室内は静まり返り、異常に張り詰めた空気に包まれた。母船のインターネットは切断され、私たちはツイートできなくなった」

見逃された危険

ポーグはこの経験を通じて、潜水艇の安全性に大いに疑問を持ったと述べた。

あるユーザーは、「通信途絶のことはテレビで取り上げたのか」と、問いただした。「オーシャンゲートに運航停止を命じて捜査に入るべきだった」

こうした批判に対して、ポーグはこうツイートしている。「確かに、危険な兆候は数々あった! だから番組でも、ポッドキャストでも、安全性と潜水艇の建造についてCEOを問い詰める一問一答に多くの尺を割いたのだが」

タイタンの安全性については、オーシャンゲートの元海洋事業の責任者が疑義を呈していたことが訴訟記録から明らかになっている。この元責任者は企業秘密の漏洩で同社から訴えられ、安全性の問題を指摘したために解雇されたと、逆に同社を訴えた(2 件の訴訟は2018年に和解で決着)。

ポーグは、タイタンには遭難時に捜索を容易にするビーコンが備え付けられていなかったと断言している。脱出用ポッドもなかった。これについて、本誌はメールで確認中だ。

タイタンに積まれた4日分(96時間)の酸素の残量は、日本時間の22日夕方にはゼロになる。奇跡の救出を信じて、必死の捜索が続く。

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米中の現状、持続可能でない 貿易摩擦緩和見込む=財

ビジネス

テスラ、第1四半期売上高が予想下回る 25年見通し

ビジネス

FRBの独立性、経済成果に「不可欠」=ミネアポリス

ワールド

ウィットコフ米特使、週内にモスクワ訪問 プーチン氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「利下げ」は悪手で逆効果
  • 4
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 5
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 6
    日本の人口減少「衝撃の実態」...データは何を語る?
  • 7
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 8
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中