F16戦闘機でウクライナの「空の戦い」は大きく変わる...ソ連製からアメリカ製へ
A Major Upgrade
このためウクライナは、F16の整備施設の確保だけでなく、滑走路から瓦礫などの異物を取り除く手配が必要だ。これが何より大きな課題だと指摘する専門家もいる。ただ飛ばすだけなら、11年の合同軍事演習でウクライナの基地からF16が飛んだことはある。
ロシアのミサイル攻撃で全滅などという事態にならないように、F16の配備場所は、一握りの基地以外の場所にも分散させるべきだ。
ロシア国境や前線に配置されたロシアの長距離レーダーや地対空ミサイルの発射装置は、ウクライナ領内を飛行する戦闘機を発見して破壊できる。このためウクライナのF16は、超低空飛行でレーダーを避けようとするだろう。
それでもロシアのA50早期警戒管制機や、スホーイ35やミグ31といった戦闘機が、下方のF16を探知して攻撃する能力(ルックダウン/シュートダウン能力)を持っていれば、撃墜される可能性が高い。
このためウクライナのF16パイロットたちは、なるべくレーダーを使わないようにして探知を回避しようとするかもしれない。だが、それは目隠しをして飛行するようなものであり、敵の動きを知ったり、ミサイル発射のためにレーダーをオンにしたりするタイミングを地上からの通信に頼らなくてはならない。
欧州はF35に切り替え
現状、ウクライナ機の攻撃の多くはこの段階で失敗している。彼らが使うR27レーダー誘導ミサイルは、目標に着弾するまで、発射機の機首にあるレーダーが、誘導のために目標に照準を合わせていなければならないからだ。
ロシア側の戦闘機が、より射程が長く、ミサイル自体が目標を追尾できる(つまり発射機は飛び去ることができる)R77-1ミサイルで反撃してきた場合、ウクライナ機は飛び去る(ミサイルは目標に到達できない)か、自滅する(目標は破壊するが、自らも逃げ遅れる)。
F16なら違う。搭載可能なAIM-120中距離ミサイルは、R77と同等の射程を持つ上に、自動追尾機能があるため発射後は飛び去れるのだ。
それでもロシアが、より高性能のレーダーと、著しく射程が長いR37Mミサイルを搭載したミグ31やスホーイ35を投入してきたら、ウクライナ機に勝ち目はない。