【台湾・総統選】人気の高い公認候補を立てた国民党だが、不安が募る理由とは?
KMT Chooses Hou
郭が党に説得されて副総裁候補になるかもしれないという報道もあるが、今の時点では分からない。少なくともフェイスブックに投稿した声明で、郭は侯を応援すると約束した。ちなみに候補者が正式発表される前は、自分が99.99%の確率で勝利すると語っていた。
国民党は危機的状況が相次いだ10年を乗り越え、体勢を立て直し、24年の総統選に向けて最強の候補者を指名することができた。とはいえ、選定プロセスを非公開にした判断は、再び党にダメージを与えかねない。
公開の予備選を行っても侯が勝利した可能性は高く、その場合、党内の派閥争いの中で正統性を確立できただろう。しかし、非公開の指名プロセスは禍根を残し、有権者の投票率や侯への支持の低下を招く恐れもある。
さらに、第2野党の台湾民衆党(民衆党)は、党主席で前台北市長の柯文哲(コー・ウェンチョー)を擁立すると決めた。柯の出馬は、2000年に陳が当選したときのように、国民党支持票を二分して、民進党に勝利が転がり込む可能性もある。
内輪もめが続いた国民党陣営に対し、民進党は比較的早くから副総裁の頼清徳(ライ・チントー)に候補を一本化していた。
民進党は今回、侯の対中問題に関する立場が不明瞭だという点だけでなく、戒厳令時代に警察官だった経歴も標的にするだろう。1989年に民主化運動の活動家で政治雑誌の編集長だった鄭南榕(チョン・ナンロン)が抗議の焼身自殺をしたとき、侯は一連の事件を担当した警察の責任者だった(侯は、当時の職務上の行為について後悔していないと語っている)。
鄭は今も台湾で、言論の自由を守る殉教者と慕われている。国民党の一党独裁時代に起きたこの事件をはじめとする出来事を、民進党は格好の攻撃材料にするだろう。
From thediplomat.com